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 総務省の「携帯電話エリア整備推進検討会」第1回会合が3月13日実施された。この会合は,30万人がいるとされる携帯電話エリア外地域の解消を目的として,エリア整備計画や整備の具体策を検討するものである。移動体通信事業者や地方自治体の代表者,識者などがメンバーである。会合での議論を通じて,地方自治体と移動体通信事業者共に,採算の壁がますます高くなっている事態が明らかになった。

 地方自治体の代表者からは,「県から移動体通信事業者にエリア整備を働きかけることが増えているが,採算が合わないということで進んでいない」(和歌山県),「NTTドコモとKDDI,ソフトバンクモバイルに整備をお願いしているが,断られることが増えている」(鹿児島県)といった現状が報告された。

 現在エリア整備が進んでいない地域は,「平均で30世帯しか住んでいない」(島根県)というように,これまで以上に1基地局あたりの人口が少ない場所である。いくら地方自治体の要請があっても「今後もエリア整備に努力を続けるが,自助努力には限界がある」(KDDI),「コスト面からエリア整備には限界がある」(ソフトバンクモバイル)というように,採算を重視する企業としては手を出しにくいのが本音だろう。

 また,エリア整備が進まない要因として,「移動体通信事業者からエリア整備をしたいので,光ファイバー回線を貸してもらえないかという打診があったが,整備が進んでいないために貸せる回線がない場合があった」(島根県)というインフラ整備の遅れや,「県が移動体通信事業者と共同でエリア整備しようにも,財政的に難しくてできない」(徳島県)という地方自治体の厳しい財政状況も挙げられていた。

 一方,移動体通信事業者からは,エリア整備を進めるにあたり,国に対する提案が数多く寄せられた。例えばNTTドコモやスカパーJSATからは,基地局を設置するだけでなく,衛星電話を使うことも検討してはどうかという提案があった。また,KDDIやケイ・オプティコムの提案は,基地局設置や伝送路敷設などエリア整備時の費用だけでなく,運用保守するための費用も国が補助すべきではないかというものだった。

 ソフトバンクモバイルからは,基地局を設置する場所である鉄塔を共用したり,ローミングしたりするなど,移動体通信事業者間で協調してはどうかという主張がなされた。鉄塔を貸し借りすることは,すでにNTTドコモとKDDI,ソフトバンクモバイルの3社間で実績があることから,現実味がある。一方の移動体通信事業者間のローミングは,現在情報通信審議会で検討している「通信事業における接続ルールのあり方」の中で議論されている内容とほぼ同じである。接続ルールの議論の内容が,同じ時期に行われることになった不採算エリアのインフラ整備の議論にも影響を与えそうだ。