「ITインフラのコスト削減を図ろうとするユーザー企業が急激に増えている」。日本IBMの河合豊システム製品事業企画・事業開発部長は最近の商談の動向を語る。
ユーザー企業のITインフラのコストを削減するためのソリューションとしては、仮想化技術を使ったサーバー台数の削減、ブレードサーバーによるサーバーの集約、IT基盤を従量制で提供するクラウドコンピューティングサービスの利活用などがある(図4)。

これらの中でも「最近、引き合いが増えているのが、仮想化ソフトとブレードサーバーを組み合わせたサーバー統合だ」。ソリューションプロバイダの営業部長の多くが、こう声をそろえる。
これまで、仮想化ソフトによるサーバー統合は、「コスト削減というより、運用管理の手間を省くためのソリューションとして売り込むことが多かった」(NECの本永実クライアント・サーバ販売推進本部グループマネージャー)。仮想化技術を採用しても、全体ではインフラ費用が増える場合も少なくなかったという。
だがここに来て、状況は変わりつつある。プロセッサのマルチコア化による性能向上が進んできたこともあり、「仮想化技術を採用することでコストを削減できる、といった提案が可能になってきた」(日本IBMの河合部長)。
仮想化ソフトの代表格とされるヴイエムウェア製の「VMware」の場合、サーバーのプロセッサ数で料金が決まる。ハードの処理性能の向上に合わせてプロセッサ数を減らせば、VMwareのライセンス料金の負担を以前より軽くできる。
こうした状況は、ソリューションプロバイダにとって仮想化ソフトやブレードサーバーといった比較的新しい製品を、ユーザー企業に売り込めるチャンスだ。
VMware以外に、シトリックス・システムズ・ジャパンの「Citrix Xen Server」や、マイクロソフトの「Windows Server 2008 Hyper-V」といった仮想化ソフトを顧客に売り込む手もある。