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SAN設計の考え方

 SANとLANは非常によく似たメカニズムで動いている。同じネットワークを指す言葉ということもあり,構造としてはよく似ている(表1)。

表1●SANとLANの違い
SAN LAN
ネットワーク名称 ファブリック ネットワーク
通信プロトコル ファイバ・チャネル・プロトコル TCP/IP
転送単位 フレーム(最大2148バイト) パケット(最大1518バイト)
L2アドレス WWN(64ビット) MACアドレス(48ビット)
L3アドレス ファブリック・アドレス(24ビット) IPアドレス(32ビット)
バッファ制御 BBクレジット/EEクレジット TCPウインドウ・サイズ
ルーティング FSPF(Fabric Shortest Path First) STP(Spanning Tree Protocol)

 しかし,SANとLANには決定的な違いが一つある。それは,SANで利用される「FCP(ファイバ・チャネル・プロトコル)」は,フレームロス(転送中に一部のデータ(=フレーム)を失うこと)を許容しない点だ。

 TCP/IPがフレームロスやパケットロスに寛容である点と大きく異なる。TCP/IPは,イーサネット・ケーブルの品質が悪く,パケットロスが発生しやすい環境でも耐えられるプロトコルとして設計された経緯がある。パケットロスをしたら再送すればよいという考え方で作られているので,品質の悪いケーブルでも通信が可能になるというメリットがある。送信側は送れるだけ送り,受信側から応答がなければ届いていないと判断する。そのため,送信可能な量以上のトラフィックを発生させているベストエフォート型のネットワークと考えることができる。

 FCPはフレームロスをしないように,対向ポート同士でバッファ制御を行うことをプロトコルで規定している。受信側ポートが受信可能な量だけ送信側はトラフィックを発生させるので,帯域保証型ネットワークと考えることができる。TCP/IPと比較してFCPの方が高品質といわれるのは,このようなプロトコル・レベルでの規定の違いにある。

 ここから,SANを設計する際に必要となる考え方について紹介していこう。

トポロジ設計

 ネットワーク接続形態のことを「トポロジ」と呼ぶ。SANの場合は複数スイッチの接続方法にいくつかのパターンがあり,そうした接続方法のことを「ファブリック・トポロジ」と呼ぶ。主なファブリック・トポロジには,「カスケード」「メッシュ」「コア・エッジ」がある(図1)。

図1●SANのトポロジ
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