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 ITproでは昨秋,「クラウド,台頭!」という大型特集を掲載した。これから数年かけて,情報システムの作り方がガラリと変わるかもしれないことを予見したものだ。年が明けて,クラウドの中身がアーキテクチャ・レベルで徐々に明らかになってきた。同時に,情報システムへの適用も現実味を帯びてきたようである。

 この4月に日経BP社が発行した「クラウド大全」を含め,今や書店には関連書籍がたくさん並んでいる。もちろん,Webサイト上の関連記事も増えてきた。ITproの記事をたどりながら,この4カ月間のクラウド・コンピューティングの動きを追ってみたい。

[アーキテクチャ]データベースがガラリと変わる

 クラウドのアーキテクチャのうち,最もインパクトがありそうなのがデータベースである。OracleやMySQLなど現在主流のリレーショナル・データベースは,トランザクション処理を前提に作られている。そのためにACID特性を備えている。情報処理の基礎を勉強した人なら周知のことだろう。

 だが,クラウドの基盤として使われている「Google App Engine」「Amazon SimpleDB」「Windows Azure」はは,キー・バリュー型(関連記事)と呼ばれており,ACID特性を備えていない。その代わり,圧倒的なスケーラビリティを備えている。

 ただし,性急な動きには批判もある。キー・バリュー型は「Joinが使えない」など既存システムでは当たり前にできていたことができない。移行しようとすれば,大きく作り替えずには済まないからだ。このような声を受け,Microsoftは当初RDBMSとは異なるアーキテクチャを採用するとしていた「SQL Data Services(SDS)」の開発方針を変更し,RDBMSの機能を使えるようにすると発表した(関連記事)。

[事例]業務システム用途が増えてきた

 少しずつではあるが,業務システムに適用した事例も出始めている。Salesforce.comのForce.comでは,ローソンなど多くの事例がある。Google Appsもディーアンドエムホールディングスが導入するなど,導入が増えている。Windows Azureは現時点では正式版ではないので,評価という位置づけだが,JTB,東証コンピュータシステム,グレープシティが名乗りを上げている。Amazon EC2/S3上でも,TISの社内ベンチャーソニックガーデンがSaaSによる業務システムの提供を始めた。