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 今後ますます多様化・高度化・多機能化するであろうネットワークサービスについて,利用者保護に向けた取り組みが本格化している。例えば産官学の連携を推進し,次世代ネットワーク(NGN)の早期構築を目指す「次世代IPネットワーク推進フォーラム」(会長:齋藤忠夫 東京大学名誉教授)は,同フォーラムの責任分担モデルWGが検討してきた「第1次報告書Ver.1(案)」を公開し,2009年2月から3月にかけてこの報告書案に関する意見募集を行った。

 今後ネットワークのIP化が進むにつれて,アクセス回線事業者,ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)事業者,プラットフォーム事業者,サービス事業者,ハードウエアメーカーなど,サービスを利用する際に複数の事業者が関わる環境が一般化することが予想される。こうした環境でサービスが利用できないなどの不具合が発生すると,事業者間の責任分担があいまいになり利用者の問い合わせが「たらい回し」されるケースが増えることが見込まれる。今回の報告書は不具合発生時に責任の所在を適切に切り分けることで,問い合わせのたらい回しを防止し,円滑にサービスを復旧するための対応手順を検討している。

 報告書案では,トラブル事例としてIP電話とソフトウエアダウンロード(動画配信サービスを含む)サービスで想定される不具合に関して,円滑にサービスを復旧するための「責任分担モデル」を検討し,まとめている。このうち消費者からの不具合の問い合わせについては,関連する事業者のどこに問い合わせが来ても利用者に差し戻さずに受け付け,事業者間で情報を共有しながら不具合の原因を調査する体制を構築するよう提言している。また,その次の段階として,関連する複数の事業者間で共通の問い合わせ窓口を設置することで,消費者が問い合わせしやすい環境整備を行うよう求めている。

 関係者によると,2009年3月19日に締め切られた意見募集には,利用者や消費者団体から早期の環境整備を求める声が寄せられたという。また,サービスを提供する事業者側からは,利用者の個人情報を複数の事業者で共有するための仕組みを検討する必要があるなどの課題を指摘する意見もあったという。

 報告書案は今回の意見募集で寄せられた意見を反映し,2009年4月上旬に報告書として公開される予定である。また,電気通信事業者協会とテレコムサービス協会,日本インターネットプロバイダー協会,日本ケーブルテレビ連盟,電気通信サービス向上推進協議会に対し,報告書に基づき適切な取り組みを行うよう要請が行われ,今後は民間の各事業者団体を中心にして,環境整備のための体制作りやスケジュールの検討が行われる。フォーラムでは,今回検討したIP電話とソフトウエアダウンロード以外のネットサービスについても同様に責任分担モデルを検討し,引き続き提言を行う計画である。