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北朝鮮の携帯電話普及率はゼロ%に近い状況である。その北朝鮮で2008年12月,エジプトの携帯電話事業者と現地企業の合弁会社が第3世代携帯電話(3G)サービスを開始した。3Gサービス開始に至った経緯や,北朝鮮の今後の携帯電話事業の展望について解説する。

(日経コミュニケーション編集部)

松本 祐一/情報通信総合研究所 研究員

 エジプトの大手財閥オラスコム・グループ傘下の携帯電話事業者オラスコム・テレコム(Orascom Telecom)と,北朝鮮の国営企業である朝鮮逓信会社は2年前の2007年1月,北朝鮮の電気通信分野において長期的な協力関係の構築に合意した。同年5月,両社は同国における携帯電話事業推進の目的で合弁会社であるチェオ(CHEO Technology JV Company,図1)を北朝鮮の首都・平壌に設立した。出資比率はオラスコム・テレコムが75%,朝鮮逓信会社が25%である。

図1●北朝鮮で第3世代携帯電話サービスを提供するチェオの概要
図1●北朝鮮で第3世代携帯電話サービスを提供するチェオの概要
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3都市でW-CDMAサービス提供

 チェオは設立から約半年後の2008年1月30日に,北朝鮮当局から25年間のW-CDMA方式による携帯電話事業の免許を取得。さらには同国で携帯電話事業を4年間独占できる特権を獲得し,携帯電話サービスの開始が大きく現実味を増すこととなった。免許取得時の報道発表によると,オラスコム・テレコムはチェオを通じて免許料の支払いおよびネットワーク・インフラ建設のため,向こう3年間で計4億米ドルを投じる計画だという。そして同社は,短期間で高品質のネットワークを構築し,一般市民に利用可能な価格帯での音声/データ/付加価値サービスの提供を目指すとした。

 2008年5月,チェオは建設を進めていたW-CDMA網で初のテスト・コールを成功させた。そして同年12月15日,ついにチェオが北朝鮮で同国初の3Gサービス「Koryolink」を,人口約200万人の平壌を含む3都市で開始したことが報じられた(表1)。なお,同社はサービス・エリアを今後北朝鮮全土に広げる計画である。当初のネットワークの収容力は約13万加入程度。同社は当面の加入目標を10万としているが,将来的には人口普及率を5~10%程度にまで高めたいとしている。

表1●北朝鮮における携帯電話事業の動き
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表1●北朝鮮における携帯電話事業の動き

 オラスコム・グループによる北朝鮮進出は,携帯電話事業にとどまらない。同グループは傘下の子会社を通じて,携帯電話事業のほか,建設,金融分野など多方面における事業を展開している。