PR

 何年か前のこと。三陸地方の漁村で,漁師の方と立ち話をしたことがある。学校で習った「世界三大漁場の一つは三陸沖」をふと口にしたら,ムッとしながら言われた。「それは何十年も前の話」。最近は魚がどんどん獲れなくなっているのだそうだ。

 このときから,「教科書ではすくえない真実」について考え続けている。世界三大漁場の真実ではなく,企業ネットワークの真実のことだ。

個別の体験にこそ真実がある

 企業ネットに関する情報は,Webや雑誌にあふれている。記者は,その情報を送り出す立場だ。しかし,その多くは「教科書的な情報」である。現場で企業ネットを構築したり運用したりする読者にとっては,役に立たないことが意外と多いのではないだろうか。

 日経NETWORKは毎年,企業ネットの調査を実施している。調査結果を基に実際の企業ネットを取材していると,教科書的な情報からはずれた個別の体験こそ,興味深く,記事を届ける読者にとっても役に立つと感じる。

 一見すると間違いやミスと思える体験も,深く探っていくとそうなった理由に行き当たる。あえてセオリーと逆を行くことも珍しくない。ほかの企業にそのまま当てはめることはできないが,こうした体験や思考の過程は大いにヒントになる。

平凡な企業ネットはない

 取材先の担当者のなかには,「自社のネットワークは平凡」と考えておられる方が多い。しかし,取材させていただく立場からは,「世の中に平凡なネットワークなど存在しない」と断言できる。

 自分が平凡だと考えている漁師の体験談には,教科書に載っていない真実がある。企業ネットの担当者が語る体験談にも,それぞれ値千金の真実が含まれている。平凡だと考えているのは,実は非凡さに気付いていないだけなのだ。

 記者は,このような企業ネットの隠れた真実を発掘し,役に立つ情報として読者に伝えていくことが大切だと考えている。そこで今年の企業ネットの調査では,構築,トラブル,評価,次期ネット構想という企業ネットのライフサイクル体験に焦点を当てることにした。選択式の回答が中心だが,個別に体験を語っていただく項目を増やした。

 調査結果は,誰が回答したかわからないように統計処理してITpro上で公開する予定だ。一部については,許可をいただいたうえで体験談を記事にさせていただく予定である。特別な体験をお持ちの方はもちろん,平凡な企業ネットの平凡な体験をお持ちの方にこそ,ぜひご回答いただきたいと考えている。

 ところで記者は,冒頭の「世界三大漁場の真実」も気になっている。ITproや日経NETWORKでは無理だが,どこかのメディアで漁師の方に取材を重ねて記事にまとめていただけないだろうか。警察や役所の情報を正しく伝えるだけでなく,現場の真実を掘り起こして報じることは間違いなく重要だと思うのだが。

<お知らせ>
 日経NETWORKでは,トラブル体験や構築体験を含む「企業ネットワークのライフサイクル」に関するアンケートを実施しています。企業ネットワークの設計や構築運用・管理に何らかの形でかかわっている,あるいはかかわった方が対象です。アンケート結果は,日経NETWORKの誌面やITproなどでご紹介する予定です。ご記入いただいたご回答は基本的に統計処理のために使わせていただきます。お断りすることなく勝手にご回答を体験談などの形で誌面に紹介することはございません。ぜひともご協力いただきますよう,お願いいたします。