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勝つためのプロセスを「創る」

写真●JBCCは現場から生まれた「営業塾」で、トップ営業が「商談に勝つための思考法」を伝授している
写真●JBCCは現場から生まれた「営業塾」で、トップ営業が「商談に勝つための思考法」を伝授している
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 二つ目のポイントである「トップ営業の思考法を、自分のものにする」ための育成策も、各社がそれぞれ工夫して強化している。

 日本ビジネスコンピューター(JBCC)では、アラサーを月1回会議室に集めて「営業塾」を実施。同社のトップ営業が入れ替わり立ち替わり、講義をしている(写真)。

 一般的な営業論ではなく、実際の商談で使った提案書を教材に、「どのような思いを提案書に盛り込み、どうやって顧客を説得していったのか」といった生々しい体験談を語る。自分の体験と対比しながら「自分ならこうする」と、参加者自身に営業プロセスを考えてもらうためだ。

 2009年3月に実施する講義のテーマは、基幹業務システムの新規開拓。同社が「ウィンバック」と呼ぶ、競合他社からのリプレース商談の提案手法である。

 塾の様子は例えばこうだ。講師であるトップ営業は「いつも“他社のシステムより処理能力が高いです”“仮想化できます”といったIT業界用語を提案書にちりばめているだろう。これだとシステムを売る側の価値観を押し付けているだけで、顧客の経営層は興味を持ってくれないぞ」と、参加者に語りかける。

 さらに「処理能力をアピールするのなら、経営層に通じる言葉で、顧客のビジネスに直結したメリットを語らなきゃダメだ」「“御社が業界のトップになるためには、商品の即納体制が不可欠です。だから在庫管理システムの処理性能を高めて在庫情報をリアルタイムに確認できるようにするべきです”。これくらいのことを、自信を持って言おう」。こんな議論が続く。

 塾では現場の営業同士で語り合うことを大事にする。講義中、部長以上のマネジメント層は部屋に決して入らせない。

 講師の一人であるJBCCの高塚主任は「新人と違ってアラサーは、自分のやり方に自信を持っている。上司に“こうしなさい”と一方的に言われても、どう変わればいいのか分からない」と言う。「発想を変えるための具体的なヒントを、同じ現場の社員同士で出し合う。これによって、目の色が変わってくる」(高塚主任)。

顧客満足を高める人材像を「見える化」

図4●ISIDは営業力強化の指針として「顧客インサイト(内情の洞察)」に長けた人材像を定義した
図4●ISIDは営業力強化の指針として「顧客インサイト(内情の洞察)」に長けた人材像を定義した
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 電通国際情報サービス(ISID)はトップ営業の経験を集めて自社の営業スキルを体系化したうえで、2009年4月から、アラサーの営業担当者の教育に取り組む。

 現在は、顧客インサイト(内情の洞察)に長け、顧客に信頼される営業人材像を、10項目で規定した段階だ(図4)。ここで求められているのは、顧客の業務に関する知識やITスキルだけではない。「顧客の目線に立って業務課題に取り組んでいること、顧客の社員の成長に寄与していることなど、顧客満足を追求するための姿勢や心構えを示す内容」(ISIDの太田悟営業統括室営業開発グループエグゼクティブ プロジェクト ディレクター)になっている。

 今後はこれを基に、アラサーの社員を鍛えるための方法論を固め、育成プログラムにまとめる方針である。

 「ISIDの顔として顧客に信頼してもらえる営業が、顧客インサイトの強化には不可欠。営業の育成を現場に任せるだけではなく、体系立てて育てることが重要だ」と、ISIDの太田エグゼクティブ プロジェクト ディレクターは語る。