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 経営者にとって、情報システムは頭痛の種になりがちだ。業務に必須だが投資に見合った効果が出るとは限らない。ほかの設備投資に比べて専門的で難解でもある。

 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、ベンダーとユーザー両方の視点から、“システム屋”の思考回路と、上手な付き合い方を説く。

 前回(第11回)は、情報システム構築に携わる“システム屋”の間では「ガミガミ屋」と「マゾヒスト」が増殖しやすいことを指摘しました。

 今回は、特にユーザー企業の情報システム部門で自社の情報システム構築にかかわる“システム屋”が陥りやすい傾向を3つ指摘したいと思います。

大規模な既存システムが“保守”招く

 傾向その1は、“システム屋”としてデビューした時から既に大規模な情報システムが稼働しており、情報システム部門は既存システムの改善依頼を受け付け、吟味したうえで慎重にこなすだけの“お役所体質”になってしまっている場合によくあるものです。悪い役所が、改善すべき点を突きつけられてからが自分の仕事と思っているようなものです。そのうえ、三流の役人が市民の要望に「これがルールですからできません」と聞く耳を持たないように、「既存の情報システムはこうですからできません」と“保守”的な発言をすることもあります。

 傾向その2は、ユーザー企業が外部のシステム会社と深い関係で長く付き合っているケースによくあるものです。このシステム会社が情報化推進の主役に納まっていて、ユーザー企業の情報システム部門は自分たちの役割を「システム会社へのつなぎ役」だと、卑下してしまっています。外部のシステム会社を呼ぶ時だけが自らの出番だと思っていますから、「IT(情報技術)以前」(第10回参照)の段階では仕事ができない、ということになります。

 逆に、外部システム会社から何らかの新発売ソリューションの紹介を受けると、その企業全体の優先課題や経営状況に関係なく、“空気”を読まないで経営陣やユーザー部門に話をつないでひんしゅくを買うことすらあります。