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 ゴールデンウィーク前から続いていた決算発表ラッシュが15日でようやく終わった。日本企業の業績は当初の予想以上に厳しい。IT各社も例外ではない。日立製作所、富士通、NECの3社の純損失を合計すると何と1兆2000億円。主力のシステム構築事業は堅調というものの、聖域なしで事業構造を見直さないと生き残りが難しいところまで各社は追いつめられている。

 NECが5月14日に正式発表した国策スパコン開発計画からの撤退は、「聖域なし」の象徴だろう。開発主体である理化学研究所のプロジェクトリーダーが嘆くように、国家プロジェクトに参加した大手メーカーの途中離脱は前代未聞。今後、スパコンだけでなく、政府がからむ全事業の先行きに微妙な影を落とすことは避けられない。

 そんなことは重々承知でNECは決断した。12日の決算発表に出席した矢野薫社長は「下期も回復は見込めない」との認識を示し、「次の成長フェーズに向けて事業の選択と集中を加速する」と宣言した。

 10年前から必要性が叫ばれながらも日本企業がなかなか踏み切れなかった「選択と集中」が今度こそ始まる。IT業界に限れば焦点はやはりハード事業。今期は二ケタのマイナス成長が見込まれるだけに、いつ撤退や事業統合が起きてもおかしくない。

 もう一つの焦点はシステム専業会社の再編。NTTデータを筆頭に基礎体力に余裕のある大手は、M&A(合併・買収)の意欲を公然と語る。数年前から水面下での腹の探り合いを続けながらも、未曾有の好景気のせいか、なかなかまとまらなかった交渉が一気に進展する可能性は否定できない。

 経営者の心理としては、6月下旬の株主総会までに懸案を片付けておきたいところ。これからの6週間、胃の痛い日々が続きそうだ。