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 「テレビや広告に携わっている人たちがどうしても作りたかったものごとを,視聴者の皆様から直接ご評価をいただける仕組みでお届けする,新しいチャンネルがWiiでスタートしました」──全世界で累計5000万台以上を出荷する任天堂のゲーム機「Wii」向けの動画配信サービス「Wiiの間チャンネル」を紹介するCMが,4月下旬からテレビ各局で大々的に流れている。任天堂取締役社長の岩田聡氏は,Wiiの間チャンネルの提供開始に合わせてWebサイトで公開した会見動画で,同社が動画配信サービスに取り組む狙いを説明した。

 Wiiの間チャンネルは,任天堂と電通が共同で取り組む動画配信サービスで,2009年5月1日に広告モデルによる無料サービスとして開始した。利用者はインターネットに接続したWiiを使って番組を視聴し,視聴後にその番組が面白かったかどうかを「○△×」の3段階で評価する。気に入った番組は登録して後から見直せるほか,友人に知らせたり,携帯ゲーム機の「ニンテンドーDSi」に転送して外出先で視聴したりできる。

 岩田氏は,任天堂にとってWiiの間チャンネルは「嗜好が多様化する中で,ゲーム人口を持続的に拡大するための取り組み」だと説明する。インタラクティブな要素が特徴のゲームは,遊ぶにもそれなりのエネルギーを必要とする。このエネルギーをかけたくない気分のときや,現在ゲームを遊んでいない人でも,ゲーム機に関わりを持ち続けられるようにするための提案が,Wiiの間チャンネルなのだとする。サービスの提供に当たっては,既存の動画配信サービスの焼き直しではなく,新しい仕組みだからこそできることを目指したという。また,放送事業者に対しては事前に構想を説明し,在京キー局5局からWiiの間チャンネル用に番組提供を受けた。「これはWiiの間チャンネルがテレビの敵ではないことを認めてもらったからだと思う」(岩田氏)とし,テレビ放送とはライバル関係にないことを強調した。

 Wiiの間チャンネルは,視聴者と映像製作者,パートナー(スポンサー)企業それぞれの視点から見て過去に例のないサービスになるという。まず利用者から見た場合,時間と場所を選ばずに番組を視聴できる。パソコンや家電向けの動画配信サービスでは,利用者が能動的に番組を探して視聴するものが多い。Wiiの間チャンネルでは利用者が能動的に番組を探すだけでなく,「コンシェルジュMii」というキャラクターがおすすめの新着番組を順次紹介する機能もあり,テレビと同様に受動的に番組を楽しむこともできる。

 映像製作者から見ると,利用者の満足度を実数として分かる形で直接フィードバックされる。利用者の評価の高い番組は,ランキング表の上位に掲載されるなど露出が増え,その結果視聴のチャンスがさらに増える。また,評価数が少ない新作番組については,コンシェルジュMiiのおすすめ機能で優先して紹介することで,人気番組に埋もれてしまわないようにする。

 スポンサー企業にとっては,広告もサービス内の一コンテンツとして扱われる点がテレビ放送と大きく異なる。広告番組も一コンテンツであるため,テレビCMのような尺の制限はなく,制作の自由度が高い。一方で,より多くの利用者に視聴してもらうためには,広告であっても番組としての面白さが必要となる。こうした仕組みは「これまで『余計なもの』として扱われることもあった広告を,利用者が自ら進んで見たいエンタテインメントに変えるチャレンジ」(岩田氏)だと説明する。面白くないと思われればまったく視聴されない半面,視聴されれば,利用者が選んで視聴しているだけに広告効果は高いと考えられる。任天堂の調査ではWiiの87%がリビングのテレビに接続されており,家族でWiiの間チャンネルを視聴するケースも多いことから,「世代や性別を超えて,異なる属性の人に広がる究極の場所」(岩田氏)とし,広告媒体としての価値が高いと訴える。

 今後Wiiの間チャンネルでは番組を徐々に増やすとともに,すでにゲーム用に運用している課金システムを使った番組の有料配信を行う予定である。また「ビデオゲームやマンガに続き,日本の映像作品も海外展開できる可能性がある」(岩田氏)とし,海外でのサービス展開も予定している。現在Wiiの間チャンネルではオリジナル番組を中心に配信しているが,「オリジナル番組だけにこだわらない」(岩田氏)といい,将来的には映画やテレビドラマなどを配信する可能性もありそうだ。