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 異なるバックグラウンドを持つ複数の執筆者が呼応しつつ、1つの連載に取り組むのが今回の企画である。第1回は、主として問題提起と背景説明、多面的なサービスが持つ課題について、このリレー連載の実施母体であるサービス・イノベーション推進委員会委員長の碓井 誠さんによって行われた。

 私は、独立行政法人産業技術総合研究所が、2008年4月にサービス生産性向上の科学的工学的手法の研究開発を行う拠点として設立したサービス工学研究センターに勤務している。個人的には、循環型社会に向けた環境サービスの役割、少子高齢化が急速に進行する地方部の地域振興サービスに関心を持つ。

 しかし、現在、私が集中的に研究所で進めているサービス産業におけるイノベーションの検討について、これまで明らかになってきた成果について今回は書くこととする(例えば、東京大学出版会『サービス工学入門』)。つまり、碓井さんの「サービス・イノベーションとは何を指すのか」について自分が考えていることをここでまず紹介する。

 そもそも、近年のサービスに関する議論の中で、私たちは「サービスの生産性向上」と「サービス・イノベーション」という2つの言葉を無意識に使っている。広く同じ意味として使う人もあれば、連続的な改善活動をサービスの生産性向上、これまでにない新しいサービスの創出をサービス・イノベーションと呼び、それぞれを使い分ける人もいる。

 経済産業省の研究会がまとめた報告書「サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて」(2007年4月)では、サービスの生産性について、分母のサービス提供の効率の向上によるインプットの削減だけでなく、分子のアウトプットである付加価値の向上や新サービス創出などという効果の増大にも着目することの重要性が指摘されている。つまり、サービスの生産性向上とサービス・イノベーションを同じ意味で扱っていると見ることができる。

サービスの生産性=付加価値の向上・新規ビジネスの向上/効率の向上

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