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遠隔勤務を実現するには、業務もシステムも見直す必要がある。経営者には大きな決断が要りそうだ。

 考えてみてほしい。新型インフルエンザの感染スピードの速さは、この数週間で証明された。一方で、強毒性のウイルスが蔓延すれば多数の死者が出ることは、H5N1型鳥インフルエンザのケースから既に分かっている。経営者は、この二つの事実から推定される今後のリスクを、どのように考えるのかが問われるだろう。

 もう一つ指摘しておきたいことがある。新型インフルエンザへの対策は、会社の評判リスク(Reputation Risk)とも密接にかかわっている、ということだ。今後、対策を疎かにしている企業は、取引先や消費者などから「多くの感染者を出すかもしれないし、資金繰りが滞って倒産するかもしれない」と見られる可能性がある。逆に、真摯に対策に取り組むことは、会社の評判を高めるチャンスになり得るのだ。

 新型インフルエンザに対して、国や自治体、医療機関がそれぞれの立場から状況を監視し、対策を考えている。ただ、新型インフルエンザが発生したときの個々の企業の事業継続については、経営者や社員が自ら責任を持って考えるしかない。

 対策を準備するかしないかは、最終的には個々の企業の経営判断だ。事業継続のリスクと評判リスクを総合的に検討したうえで、手間もコストもかかるから対策を準備しない、という結論を出したのであれば仕方がない。ただ、それが経営者としての責任ある判断と言えるかどうかは、言うまでもないと思うが。

 逆に、経営判断として対策を打つと決めたのであれば、少しでも早く行動を起こすべきだ。これだけは強調しておきたい。


佐柳 恭威
スタンダード&プアーズ Vice President
スタンダード&プアーズ Vice President。1985年、富士銀行(当時)に入行。1996年からロンドン駐在。欧州と北米でシステム開発・運用からリスク管理までを手がけ、2001年には米ニューヨークで9.11テロ後の業務復旧に当たる。2002年10月、スタンダード&プアーズに入社。2007年から米国本社の危機管理顧問を務め、新型インフルエンザなどの対策シナリオを企画・導入し、現在、Vice Presidentとして世界各国のマネジメントの指導に当たる。著書に、6月に緊急出版した「10日間で完成 パンデミック対策実践マニュアル」(日経BP社)、「Business Continuity PLAN GUIDE」(1999年、米国で出版)がある。