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 「発言が出ないので、『発言しろ』と上司が促すと、上司の満足を得るためだけに、意味のない発言をする人がいる」──。

 本誌は2008年6月末から約1カ月間、「日経ビジネス オンライン」で、会議についての困りごとや悩みを聞くアンケートを実施した。1273人の回答者の半数近くが挙げた悩みは「発言が出ない」こと。自由意見欄ではその実情が切々と語られた。

●会議、話し合いにおける悩み
●会議、話し合いにおける悩み
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 意見が出たら出たで、「自分の意見を強硬に主張し、人の話を聞かない人がメンバーにいる場合、その人に全体が引きずられてしまう」「全体方針を決定する会議でプロセスの詳細内容に話が及び、憶測でああでもない、こうでもないと出席者全員で堂々巡り」といった具合に進行が迷走する悩みも。その結果、「原案を改善する建設的な意見や代替案が出ず、その場で結論を出せずに持ち帰りとなる」など、せっかく時間を割いても結論が出ずに意思決定が遅れ、参加者のモチベーションも下がるといった悪循環に陥っていく。

●ファシリテーションを知っているか
●ファシリテーションを知っているか
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 こうした課題を解決するために注目を集めているのがファシリテーションだ。様々なスキルを使って意見を引き出し、議論をかみ合わせて参加者が「自分の意見を言い尽くし、聞き尽くした」という納得感を得ながら合意を形成していく。

●社内でファシリテーションを学ぶ機会があるか
●社内でファシリテーションを学ぶ機会があるか
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 ファシリテーションについて「よく知っている」「聞いたことがある」という回答を合わせると、その認知度は7割以上。「所属する企業でファシリテーションに関する教育の機会がある」という回答も22%に上った。管理職育成プログラムの一環として取り入れる例も増えつつある。

対症療法と体質改善

 以下ではアンケートで寄せられた会議の悩みについて、企業でファシリテーションを実践したり、プロのファシリテーターとして活躍する方々に解決策を聞き、事前の情報収集や作戦立案を含め、会議を円滑に進めるためのスキルを紹介する。

 とはいえ、スキルだけですべてが解決するわけではない。「会議が上位者の独演会、免罪符としてでしか活用されていない」「他部署に対しては遠慮して意見が言えない」といったリーダーシップや組織風土の問題、「会議のテーマに無関心で『自分の仕事で忙しい』という態度の人がいると、全体の雰囲気が沈滞する」といったモチベーション上の課題、そして「議論で人を屈服させて、優越感を感じたい」といった本能的な欲求は、会議の場で解決するのは難しい。こうした状況が慢性化すると会議は形骸化し、「良い意見が出ても、いざ実行段階になるとほとんどと言っていいほど責任回避をし、実施を押し付け合う」結果に終わる。

 ファシリテーションに詳しい元NTT西日本監査役の香取一昭氏は「意思決定を目的とした会議とは別に、役職や立場を超えて自由に意見を交換する『場』を運営し、参加者が相互に理解を深め合うよう支援することが必要」と話し、会議の参加者の「心」のあり方にも影響を与えるファシリテーション手法の重要性を指摘する。

 会議を運営するスキルと、その前段階で参加者の心を変えるための「場」作り。2つのファシリテーションの勘所を探る。