PR

 「創造的な仕事(クリエイティブワーク)」を進めるための情報システムについて、コンサルティング会社シグマクシスの戸田輝信パートナーによる短期集中講義が終了した。講義内容に対する質問や意見の中から代表的な質問に対し、戸田氏自らが回答する。今回は、第1講に対する回答と、そこでお願いしたアンケートの集計結果を掲載する。

 第1講、「遊牧型ワークスタイルの勧め」に対して、多くの意見や質問をいただいた。その中から代表的な二つの質問について回答する。

質問1:PCに機動性を持たせることと“クリエイティブワーク”がうまくいくことの相関がよく分かりません。クリエイティブワークに必要な要件はいくつもあると思いますが、いずれの要件においてPCに機動性を持たせることが役に立つのか、説明してください。。

 この問題については、集中講義ではあまり説明できていませんでした。ここでもう一度、別の角度からお話しさせていただきたいと思います。

 今社会は、「モノ社会」から「コト社会」に移行しています。「モノ社会」とは、家電や自動車に代表される、ある一定の生活水準を確保するために必要な“モノ”を購入しそろえることが、消費者にとって大切だった時代です。

 一方「コト社会」では、一通りの“モノ”がそろったことで、より安全であること、より心地よいこと、あるいは、より環境によいこと、といった、「サービス(コト)」の水準が、重要視されるようになったのです。

 例えば、冷蔵庫は「冷えればいい」という時代から、家庭のライフスタイルにあったサイズや仕様に展開されるようになりました。車も、「走れればよい」という位置付けから、生活者の家族構成や余暇の過ごし方に合わせて、多車種に展開されています。

 水道水ではなくブランドでミネラルウォーターを選ぶ、より安全に過ごすためにセキュリティ・サービスを契約する、という傾向も、「コト社会」の分かりやすい例でしょう。

 「モノ社会」にある企業においては、普及率市場でいかにシェアを獲得するかというテーマのもと、低コスト大量生産、生産性や効率性の向上が、企業競争力の源泉とされていました。しかし「コト社会」では、多様化した顧客の個別のニーズに正面から対応したソリューションが求められています。

 顧客のそれぞれに個別の課題やテーマがあり、企業はそれを解決することで顧客を満足させなければ、商品やサービスが売れなくなってきているのです。画一的な商品を提供するだけでは買ってもらえない時代、多品種少量生産を成立させるメカニズムが必要とされる理由がここにあります。

 多様化するニーズや課題に応える要素の全てを、一社がそろえるのは困難です。どういう商品やサービスが求められているのかを理解し、そこで求められる解を創り出すために、新しい技術や知恵、場合によっては他業種のノウハウも組み合わせていくことが大事になってきます。

 取引先との関係性も含め、製品開発、調達、製造、販売の流れにおいて、いかに変化し続ける消費者のニーズを取り込んで商品化につなげられるか?これまでの製造業各社は、その挑戦を繰り返しています。

 これらの変化は、製造業あるいは生産現場にとどまらず、あらゆる企業や職種に当てはまることだと私は考えています。グローバル化の中、刻々と変わり続ける顧客のニーズや課題に対応するためには、「決められたことを決められた手順で行う」仕事の仕方ではなく、「新しい課題をどう解決するかを考え、社内外を問わず、適切なメンバーとのチームワークで解決していく」ことが必要になってくるのです。だからこそ、新たな価値を創造する仕事という意味を込めて、「クリエイティブワーク」というネーミングでご紹介したのです。

 ご質問にあるとおり、クリエイティブワークに必要な要件はいくつもあります。ですが本講義では、「1社の力で何でも解決できる時代が終わりつつある」ということを、大前提に共感していただければと思います。