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 ケーブルテレビ事業を手がける東京ケーブルネットワーク(TCN,サービス提供エリアは東京都荒川区,千代田区,文京区)と日本通信は2009年4月17日に,地域WiMAXのネットワークを利用した共同実験を実施すると発表した。

 TCNにとっては地域WiMAXを使った通信サービスのアプリケーションを増やすことにつながり,企業や自治体といったサービス利用者を獲得できる可能性が高まる。日本通信は3GネットワークやPHSネットワークに地域WiMAXのネットワークが加わることで,顧客の端末に応じた多様なネットワーク・サービスが提供できるメリットがある。両社はデジタルサイネージや動画配信,コンテンツ配信といったテーマで実証実験を,期限を設けずに実施する。日本通信 取締役の田島淳氏は,「地域WiMAXと連携した成功モデルを作りたい」と意気込みを語る。

地方の名産品を都内でPR

 デジタルサイネージの実証実験では,日本通信のネットワークとTCNの地域WiMAXのネットワークを相互接続し,地方都市の映像を都心に設置したデジタルサイネージ端末で放映することを想定している。具体的には京都府宮津市に本社を置く日本通信の子会社「丹後通信」が,地元の名産品の映像や観光地の映像,イベントのPR映像などを送信し,東京に設置したデジタルサイネージ端末のディスプレイで放映する。放映する映像には,あらかじめ地域についての文字情報も挿入しておき,合わせて表示する。

 デジタルサイネージ端末は,携帯電話機に組み込まれたFeliCaなどと通信できるリーダー/ライターや無線LAN機能を搭載させる考えだ。これらの通信機能は,携帯電話機やスマートフォンに映像情報や文字情報を送信するために利用する。日本通信の田島氏は,「地方にはあまり知られていないが素晴らしい名産品や観光地が存在する。そうした情報を都心でPRすることで,商品販売や訪問者増加などの地域振興にもつながると考えている」と説明する。

 端末の設置場所は未定だが,TCNと資本関係のある自治体や企業が保有する施設を借りることを検討している。将来的には,実証実験とは逆に,都心の情報を地方に伝えることも考えている。例えば都内にある店舗をWeb上で映し,まるでその場所にいるかのように買い物ができるバーチャルストアといったアイデアを持っている。

 動画配信では,プリクラに代表される写真シール作製機を使った実証実験を考えている。これまでは静止画の写真シールを受け取るだけだったサービス利用者に,撮影した画像や動画をパソコンや携帯電話機で受け取れるようにするイメージである。

 実証実験では,写真シール作製機にTCNの地域WiMAXサービスが利用できる送受信機を設置し,撮影した画像や動画データを地域WiMAXのネットワークで送信する。画像や動画データは地域WiMAXのネットワークから利用者のパソコンへ送信するといった仕組みである。日本通信では写真シール作製機メーカーにPHSサービスを提供している実績があるため,そのノウハウを生かすという。

欲しい情報をユーザーに届ける

 コンテンツ配信の実証実験では,地域WiMAXネットワークの域内にあるスマートフォンやパソコンに対し,その端末に地元のコミュニティ情報をプッシュ配信する実証実験を考えている。

 配信する情報は例えば町内会の情報やスーパーの広告情報,地元のイベント情報といった個人が自分の好きなジャンルを選択する情報や,災害情報や自治体の情報など公共的な情報を想定している。これは最近増えている個人が望む情報をプッシュで配信するコンシェルジュ・サービスに近いモデルである。利用者に有用な情報が配信できれば,地域WiMAXサービス利用の動機付けになる。広告配信による収入も期待できる。

 地域WiMAXネットワークの域外にいながら同じ情報が欲しい利用者には,日本通信の3Gネットワークを使って情報を配信する。例えば火事などの災害情報を受け取って,自分の家族に注意を促したり,子どもの位置情報を受け取って安全を確認したりといった利用方法が考えられる。

 将来的には地域WiMAXの域内に入った端末を自動認識して情報を配信する仕組みを考えているが,実験ではまず端末のユーザーが手動で域内に入ったことを通知し,情報を受け取る仕組みで実施する。