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雇用環境が悪化するなか,IT企業は今後のビジネス再生に向け,どんな人材を必要としているのか---。学生や転職を考えているエンジニアにとっては,気になるところだろう。そこで,大手および中堅のSI(システムインテグレーション)会社,米大手ソフトウエア会社,米大手ハードウエアベンダーから採用担当マネジャー4人を招き,匿名座談会を実施した。Part1では,景気後退期の人材採用の考え方を議論した。(座談会は2009年1月29日に開催)

急速に景気が悪化し,就職・転職活動で悩む学生や若手ITエンジニアが増えています。実際,皆さんの採用計画への影響はどうなのでしょうか。

藤原氏(仮名)
藤原氏(仮名)
法人向けシステム構築を多く手がける大手SI会社の人事部門で,新卒,中途など人材採用全般を担当する。

藤原:2009年4月入社の新卒採用は600人弱です。昨年に比べて100人ほど少ないのですが,景気のせいではありません。昨年は内定辞退率が例年より少なく,計画をかなり上回る人数を採用したので,今年はその分,採用を控えました。

 新卒者を安定的に採用するのが当社の基本方針で,増減の幅を最大でも10%前後にとどめることにしています。2010年4月の新卒採用は,1割減の500~550人程度を予定しています。

 一方で,中途採用の2008年度(2009年3月期)実績は約100人でした。昨年から微減という感じです。

大西:当社は新卒に比べて中途採用の比率が高く,2009年3月までの1年間で約300人を採りました。

 今年度の中途採用数は想定しにくいですね。当社の場合,まず米国本社が大きな部門ごとに年間の採用計画を立て,各部門内で計画を具体化し,それに日本の各組織が作った計画を擦り合わせて,初めて採用数が決まります。

 当社も不況の影響をかなり受けていますので,今のペースで採用し続けるわけにはいかないと思います。場合によっては,前年の1割程度にまで落ち込むかもしれません。実際,ピーク時には約200の職種について中途採用を募集していたのですが,現在は10職種に満たないぐらいです。

新卒はどうですか。

大西氏(仮名)
大西氏(仮名)
米大手ソフトウエア会社 日本法人の人事部門で,新卒採用および中途採用を担当する。

大西:即戦力を期待する中途採用に対し,新卒採用は長期的な人材投資だと位置づけています。ここ数年は「安定的に採っていく」という方針で,毎年40~50人を採用しており,2009年4月もそのくらいです。人数は中途採用より少ないですが,当社が重視する価値観を体現する人材を育てるという目的で続けています。

田口:2009年4月に約150人の新卒者が入社予定で,昨年とほぼ同じです。2010年4月入社の新卒採用については人数がまだ決まっていません。

 中途採用は昨年度,約300人でした。今年度については,米国本社に採用計画を出してはいるのですが,まだ分かりません。

 採用人数が決まらない最大の理由は,当社が最近,比較的大きな企業買収をしたことです。もちろん,景気や為替の急激な変動も影響しています。

 もっとも各事業部門の需要を見る限り,中途採用の数が大幅に減ることはないとみています。従来アウトソーシングしていた業務の一部を内製化することで,顧客サポートを強化しようという計画があるためです。

田口氏(仮名)
田口氏(仮名)
米大手ハードウエアベンダー 日本法人の人事部門で,主に中途採用を担当。新卒採用業務も一部手がける。

木村:うちは基本的に新卒主義ですね。新卒社員をゼロから染めていきたいという社長の考えがありまして。

 新卒の採用人数はここ数年50~70人でしたが,2008年4月はやや多めに採って90人でした。お客様の6割以上が外資系企業なので,このほかに留学生を年間10人程度採用しています。中途採用は年間40人程度です。

 昨春に新卒を20人ほど増やしたのは,大手が積極的に採用し始めたので,2009年はなかなか採れないだろうと読んだからです。逆に,2009年4月の新卒採用は少し控えたのですが,これが大失敗で,40人ほどしか採れなかった。米国出身の留学生3人と,中国・大連にある理工系の大学から即戦力の5人を加え,48人が入社予定です。