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2010年の見込みは?

木村:昨年末までは70人強を予定していましたが,経営環境が急速に変わってきたので,50人に減らしました。サービス事業はまだよいのですが,ハードやソフトの売り上げに急ブレーキがかかっているので,営業系やスタッフ系の採用をぎりぎりまで抑え,約50人のほとんどをエンジニアにする予定です。

 昨年の失敗があったので,今回はほとんどの就活フェアに出るなど万全の準備をしています。説明会は1シーズン40回ほどやりますが,すべて社長が出ます。今日の座談会にも社長が来ればよかったのですが,学生向け説明会と重なったので私が代役に(笑)。

あってはならない内定切り,ただ“やむなし”の事情も

内定切りが大きな話題になっていますが,この問題についてどう考えていますか。

大西:内定と言っても,いわゆる雇用関係がほぼ成立している状態なので,会社側の都合で一方的に切ることは本来許されません。ただ,会社が赤字を出していて,人員整理までしなければならないような追い込まれた状況なら,あり得る話だと思います。だから,ニュースなどで内定切りがひどい,ひどいと言われていますが,その見方も一方的すぎると感じます。

木村氏(仮名)
木村氏(仮名)
情報インフラの構築を得意とする中堅SI会社(従業員約500人)の人事・採用担当役員。総務も統括する。

木村:社会的責任から言ったらとんでもない話だけれども,逆に学生が内定を辞退して,我々が翻弄されることもありますからね。学生さんには勉強になった部分もあると思います。景気変動に敏感な業種や企業があると分かったでしょうから。

 経営の観点からすると,景気変動をある程度予測した雇用形態にしておく必要があります。正規社員の雇用比率が高く,人件費を削減する手段が見つかりにくい状況だと,不況に対応できず,「内定切り」もやむなしとなってしまいますから。その点,IT業界では派遣や外注の活用がかなり浸透しているので,比較的柔軟に対応できると思います。

藤原:こういう問題は以前から少なからずあったと聞いています。基本的には学生は弱者ですので,それを一方的に切った企業は社会から見れば悪者です。約束事はどんな形であれ守る,という姿勢を持たないと,そもそも内定自体が何のためにあるのか,ということになってしまいます。

 内定を取り消した企業の中には,急激な情勢変化で会社が破綻に追い込まれ,人を雇えなくなったところも実際多いと思います。それは,今言われている「内定切り」という言葉とは,ちょっと意味合いが違うのではないでしょうか。ただ,内定を取り消した会社は約束を破ったことに対する責任として,ほかの会社を紹介するなど何らかの形で努力を示す必要があると思います。

田口:私もほぼ同じ考えですが,一方で,これほど内定を固く守っているのは,日本だけだということも指摘したいと思います。海外では大勢の人を一斉に切ったり,採用を取り止めたりという話をよく聞きます。月初めに出した内定を月末に取り消すことさえ結構あります。

 もちろん,一時的な経営上の問題を理由に内定を切ることは,絶対にやってはいけないと思います。ただ,これから10年たっても業績の回復が見込めず,学生を雇ってもキャリアをつぶしてしまう,ということであれば,辞退を促すという選択はあると思いますね。