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写真●長谷川 秀樹氏 東急ハンズ IT物流企画部 部長
写真●長谷川 秀樹氏 東急ハンズ IT物流企画部 部長
(写真:辻 牧子)

 当社は、専門的なスキルの高いITベンダーと付き合う方針だ。特定の技術や製品の導入に強みを持つITベンダーに仕事を任せる方が、こちらの求めるシステムを構築しやすいと考えているからだ。

 「総合力」を売りにしているITベンダーは多いが、いまひとつ信用できない。総合力を備えているというのは、特定のIT分野への強さに、顧客の要求に柔軟に対応できる懐の深さを併せ持つことだと考えているが、こうしたITベンダーはまだ少ないのではないだろうか。

 「総合力で勝負しています」と言いながら、自社にとって都合のよい製品やサービスを売りつけようという営業担当者は多い。実際にこんなことがあった。

 昨年、店舗内の棚や商品に張り付けるPOP(店頭販促)を、すべての店舗で共有できるようにするシステムを構築しようとした。以前は、店舗ごとにPOPを作成しており、手間とコストがかかっていたからだ。

 具体的には、店舗の販売員がPOPを付けたい商品のコード番号を携帯情報端末で読み取れば、自動的にPOPを出力できるようにすることを考えていた。ここではPOPの印刷機能の開発だけを外部に任せるつもりで、POP関連のトータルソリューションを手掛けているITベンダーに声を掛けた。

 このITベンダーは、POP関連システムのトータルソリューションを提供しているというので期待していた。ところが、当社の要望を告げると、「POPの印刷機能だけを開発することはできない」とあっさり断られた。サーバーや携帯情報端末、アプリケーションなどを一式で提供することしかできない、と言ってきたのだ。

 当社の携帯情報端末が使えないのであれば、議論の余地があった。だが、先方が指定していた携帯情報端末やサーバーの仕様を聞いたところ、当社が導入している携帯情報端末やサーバーでも問題がないことが分かった。

 コストを抑えたかったので、POPを印刷するシステムのためだけに、ハードをリプレースすることなどできない。この点を先方の営業担当者に伝えると、「不具合があった場合に責任を取れないので、アプリケーション開発だけを請け負うことは不可能です」と回答してきた。

 この営業担当者が間違っていることを言っているとは思わなかった。そこで「障害が発生しても、責任を御社だけに押し付けないことを、契約書に明記しましょう」と交渉してみた。それでも駄目だった。

 総合力というのは、システムを一式で提供することだけではないはずだ。我々はこのITベンダーのアプリケーション開発力に魅力を感じていた。それなのに、全く聞いてもらえなかったのは、残念でならない。

 顧客の言いなりになれ、と言うつもりはない。ただし、ある程度の融通が利かないようでは、総合力のある会社とは呼べないはずだ。顧客のさまざまなニーズに対応できるだけのスキルがないのに、総合力を備えていると、胸を張ることはできないだろう。

 ユーザー企業としては、ハードやソフトなどを一式で提供してほしいこともあれば、ハードやソフトなどを個別に入手したい場合もある。個別の事情に対応できるところが、総合力を備えたソリューションプロバイダだと思う。

 当たり前のことのようだが、真の総合力を備えたITベンダーはどれだけいるのだろうか。今、探しているところだ。(談)