日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)はセキュリティソフト「秘文Ver.9.0」シリーズを今年6月に出荷する。注目の情報漏洩防止技術DLP(Data Loss Prevention)を導入し製品の付加価値を高める。
秘文は、企業の情報漏洩対策を目的としたセキュリティソフト製品群だ。最新版である秘文Ver.9.0シリーズの特徴は、DLPと呼ばれる情報漏洩防止技術を取り入れてセキュリティ機能を高めたことである。
最新版はあらかじめ外部への持ち出しを許可したデータと、許可していないデータを自動的に区別。許可していないデータの持ち出しを制限する機能を備えている(図1)。

「重要なデータを持ち出さないよう、従業員の行動を制限することなく、機密データの情報漏洩のリスクを最小限に食い止めることができる」。日立ソフトの加藤哲哉開発事業部事業企画本部ビジネス企画部第1グループマネージャは、最新版の特徴を語る。
最新版を社内のパソコンにインストールしておけば、従業員は機密データの扱いの手間を省ける。社内のパソコンからデータを持ち出す際、「機密情報が含まれているかどうか」「外部に持ち出してよいデータなのか」などを意識する必要がなくなるからだ。
秘文は、国内のデータ暗号化ソフトの草分けといえる存在である。最初のバージョンは1999年に発売され、既に顧客数は5200社、累計のユーザーライセンスは530万に達する。
調査会社の富士キメラ総研によれば、国内のデータ暗号化ソフト市場で、2007年の出荷ライセンス数のシェアは5割を超えた。
Ver.9.0へのバージョンアップによって、新たにDLPソリューションとしての“顔”を持った。2009年に入って大手の金融機関による顧客情報の流出事件が相次いだこともあり、DLPを採用した製品はユーザー企業の関心を集めている。
日立ソフトは、最新版をDLPソリューションの中核商材として売り込んでもらうよう、販売パートナーに働きかけている。「Ver.9.0だけで、2009年度以内に100万ユーザーライセンスの獲得を狙う」。加藤グループマネージャはこう意気込む。