マイクロソフトのリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)製品の現行版「SQL Server 2008」試用版のDVDイメージが,最近ダウンロード可能になった。そこには,試用版にもかかわらず,試用版ではないものが入っている。筆者は「試用版と聞いて興味を失ってしまう人も多いだろうに,もったいないなあ…」とつい思ってしまう。
あなたがRDBMSに興味があるなら,SQL Serverを一度使ってみるとよいだろう。入手やインストールが容易で,使いやすい。実際のシステムでの利用例も多い。日経ソフトウエアの読者アンケートで「主に使っているデータベース製品」を尋ねたところ,まだ中間結果ではあるが,SQL Server,Oracle Database,MySQL,PostgreSQL,IBM DB2という順番だった。
SQL Server 2008には,無償版の「SQL Server 2008 Express」がある。これまて,この無償版は必ずしも使いやすいものではなかった。
まず,インストールが面倒だった。どのファイルをダウンロードしてインストールすればいいのかがわかりにくかったのである。データベース・エンジンだけの「Express」,基本的な管理ツールが付いた「Express with Tools」,さらにテキスト全文検索機能などが付いた「Express with Advanced Services」があり,それぞれのx86版とx64版が存在していた。
加えて,SQL Server 2008 Expressをインストールする前にインストールしなければならないソフトウエアが三つあった。「.NET Framework 3.5 SP1」「Windowsインストーラ4.5」「Windows PowerShell 1.0」である。かなりクラクラする仕様だ。
期間無制限のRDBMSも利用できる
こうした問題を解決したのが,2009年4月29日に公開されたダウンロード・ファイルである。「Microsoft SQL Server 2008 Enterprise Evaluation: 開発者用トライアル版」または「Microsoft SQL Server 2008 Enterprise Evaluation: IT プロフェッショナル用トライアル版」のページを開き,「DVDイメージ」というリンクをクリックすると,「SQLFULL_JPN.iso」という3.32GバイトのDVDイメージ・ファイル(ISOファイル)をダウンロードできる。
このDVDイメージには,「Enterprise Evaluation」というSQL Server 2008の180日間限定試用版が入っている。だが,入っているのはこれだけでない。
図1は,先ほどのDVDイメージを開いてSQL Server 2008のインストーラを起動させると出てくる画面である。「無償のエディション」を選択できるだけでなく,プロダクト・キーを持っていればそれを入力して有償エディションをインストールすることも可能だ。
図2でわかるように,無償エディションは「Enterprise Evaluation」「Express」「Express with Advanced Services」から選択できる。Enterprise Evaluationは,有償のEnterpriseエディションと同じ機能を持つが(図3),試用期間は180日である。ExpressとExpress with Advanced Servicesには試用期間の制限はない。ただし,すべての機能を利用できるわけではない。Expressの機能を図4に,Express with Advanced Servicesの機能を図5に示す。
ゆっくり学習するならば,基本的な管理ツールが付き,期間の制限がないExpress with Advanced Servicesがお薦めである。
「3.32Gバイトのファイルをダウンロードしなければいけないの?」と思う人もいるだろう。ご心配なく。2009年6月11日発売の,日経ソフトウエア編「ゼロから学ぶ!最新データベース」にはそのDVD-ROMが付いている。筆者が知る限り,日本初の快挙である。世界でも例がないかもしれない。
SQL Server 2008のインストール方法は,紙面で5ページをかけてていねいに解説している。インストールが済んだら,「使って覚えるデータベースの常識」全12章を読みながら操作してみるとよい。さらに,Visual Studio 2008やExcel 2007と組み合わせる解説や,オープンソース・データベース「MySQL」「PostgreSQL」の入門者向け解説もある。データベースの学習にぜひ役立ててほしい。