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 本研究所では、クラウド時代の企業の情報システムについて、モバイルソリューションの観点から考えていきます。主要テーマは「モバイルクラウド」です。経営視点およびユーザー視点から、これからの企業情報システムの新ステージを担うであろうモバイルクラウドの実像や、そこでのワークスタイルのあり方を考察します。

 モバイルクラウド研究所・所長の八子知礼(やこ・とものり)です。いまだに「とらえようがない」「分からない」ともいわれるクラウドコンピューティング・サービスですが、本研究所では、モバイルソリューションの観点からみた企業情報システムいついて、「モバイルクラウド」というテーマを掲げて研究していきます。

 筆者はエンジニアではなく、クラウドからみれば、ある意味“部外者”です。ですが、部外者は部外者なりに、経営視点およびユーザー視点から、モバイルクラウドの実像やそこでのワークスタイルのあり方を考えることで、企業情報システムの新たなステージを探求したいと思います。

 ここで扱うテーマは、広義にはクラウドであり、モバイルですが、用語の定義には細かくこだわりません。むしろ、それらがもたらす価値と意味、そして企業活動やワークスタイルの変化から求められる本質的なITの果たすべき役割や目的に対し、関連づけられる話題を扱っていきます。

 これまで、あまり議論されてこなかった領域についても言及するため、読者の方々の立場によって様々な解釈があると思いますが、大きな変革のトレンド、改革の糸口をつかみ取っていただければと考えます。

さらなるコスト削減を求められるIT部門

 まず第1回は、ITコストやIT投資の削減要請など、経営からの喫緊の課題が、企業情報システムやクラウドに求められていることを概観します。本研究所のテーマが、単なるクラウドでなく、なぜモバイルクラウドなのかを理解していただきたいからです。

 今さら言及するまでもなく、2008年秋からの急激かつ世界的な景気減速を受け、企業の投資抑制・支出削減はもとより、消費者心理の冷え込みから大幅な需要減退の動きが続いています。

 企業活動においても、将来的な顧客数減少や、市場環境の変化に備え、これまで以上に様々なコスト削減施策と成長分野への再投資への取り組みが始まっています。そこでは、抜本的な収益体質の強化と成長力の確保を図り、事業構造そのものを変革することが最大の関心事になっています。

 筆者のクライアントにおいても、将来の生き残りをかけてコスト削減に取り組む企業が増えています。これまで主に取り組んできた直接材のコスト削減だけでなく、事務用品や業務委託、物流費といった間接材のコスト削減にまで、徹底して取り組むケースが少なくありません。その際、経営からの要請でコスト削減の主たるトピックに必ず挙がるのが、ITコストおよびIT投資です。