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 ウィジェットは一部を除いて,パソコン向けWebページと同じHTMLやJavaScriptで開発できるため,アプリの市場も広がる。Webページ制作会社なども市場に参入してくる可能性があるからだ(図1)。サムライワークスの矢追龍之介取締役 企画制作本部担当兼COOは,「HTMLやJavaScriptは,Javaなどのプログラミング言語による開発と比べたら格段に取り組みやすい。今まではある程度以上の技術を持つソフト開発会社だけがアプリを供給できたが,今後はWebの制作会社でも同様の機能を持つ携帯ウィジェットを開発できる」という。

図1●ウィジェットで既存アプリに迫る機能を実現<br>ソフトバンクやBONDIのウィジェットでは,携帯電話の各種機能やデータにアクセスする機能を持ち,従来のJavaアプリに迫る機能を実現できる。Web技術で開発できるため,Webページ開発者などの参入が期待できる。
図1●ウィジェットで既存アプリに迫る機能を実現
ソフトバンクやBONDIのウィジェットでは,携帯電話の各種機能やデータにアクセスする機能を持ち,従来のJavaアプリに迫る機能を実現できる。Web技術で開発できるため,Webページ開発者などの参入が期待できる。
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 HTMLやJavaScriptで記述する携帯ウィジェットの場合,パソコン向けWebページと同様にソースコードをユーザー側で確認できる。ノウハウを開示したくない開発者が敬遠するのではと懸念する声もあるが,「Webページでも内部のコードが見えることで,制作者が互いに参照しながら面白いサービスを生み出していった。コードを参照できることが,むしろウィジェットの市場を拡大させるだろう」(ノルウェーのオペラ・ソフトウエアのアンドレアス・ボーヴェンス デベロッパーリレーションズグループリーダー)という見方もある。

 もちろんJavaなどと比べて,短所もある(表1)。現状のウィジェットの多くは,処理能力などの制限で,動画や音声は再生できない。利用できるデータ容量にも制限があるため,複雑な機能を多数用意するといった用途にも適さない。3Dグラフィックスを使うゲームは,既存の携帯電話のJavaアプリで実行するなど用途によって使い分けられていくだろう。

表1●携帯アプリとウィジェットの長所と短所
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表1●携帯アプリとウィジェットの長所と短所

シェアが高い事業者/メーカーほど前向き

 そしてBONDIが,携帯ウィジェット普及の動きを加速させる。これまでは基本的に携帯電話事業者ごとのソリューションだったが,共通仕様となるBONDIの登場によって,その状況が変わる可能性が出てきた。

 既にBONDIをサポートする動きも出始めている。Linuxを使った標準プラットフォームの策定を目指すLiMo FoundationもBONDIへの支持を表明した。年内にはLiMoに参加する事業者やメーカーが対応端末を投入するという。

 OMTPやLiMoに参加する海外の携帯電話事業者がウィジェットに熱い視線を注ぐ背景には「iPhoneのApp Store,AndroidのAndroid Market,ノキアのOviといった,携帯端末メーカーなどが主導するアプリ配信プラットフォームが登場し,事業者が単なるパイプになってしまうという危機感がある。事業者自身がBtoCのサービスを運営したいという意識がある」と,LiMo Foundationに評議員として参加するNTTドコモのプロダクト部の浦川康孝技術アライアンス担当部長は分析する。

 国内でも,携帯端末向けソフトウエアを開発するACCESSやアプリックスは,BONDIへの参画を表明した。「商談などで海外の事業者やメーカーを訪問すると,今後はBONDIだという話になる。シェアが多い事業者やメーカーほど前向きにBONDIに取り組んでおり,もはや対応せざるを得ないという状況だ」(ACCESSの開発本部プロダクト戦略部第1課の高瀬貴之課長)。一部の事業者が定めた独自仕様ではなく,あらゆる事業者に広がる可能性のある標準仕様であることが,参入の後押しをしたという。

米グーグルは携帯向けのWebアプリを強化

 事業者をまたぐ統一規格が登場し,携帯電話や端末でWebの情報を表示するオープンな手段として浸透していけば,膨大な数のサービスが創出される土壌となるはずだ。これまでにない,Webページの情報と携帯電話の機能やデータと組み合わせた新サービスの登場が期待される(図2)。

図2●ウィジェット/WebアプリがWeb上のサービスと携帯電話の機能をつなぐ<br>携帯ウィジェットのほか,同様の技術で作られたWebアプリが浸透することで,既存のWebサービスと携帯電話の機能の融合が進み,新サービスが生まれる。
図2●ウィジェット/WebアプリがWeb上のサービスと携帯電話の機能をつなぐ
携帯ウィジェットのほか,同様の技術で作られたWebアプリが浸透することで,既存のWebサービスと携帯電話の機能の融合が進み,新サービスが生まれる。
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 ウィジェットだけでなく,パソコンの分野で先行していたWebアプリも携帯機器向けに生まれ変わりつつある。サービスを先行投入しているのは米グーグルだ。2009年4月に米国向けに投入したiPhone版とAndroid版のGmailとGoogleカレンダーは,携帯端末のメモリー内部にWebサービスの情報の一部を保管して,ネットワークがつながっていない状態でも利用できるような仕組みを搭載した。両端末が備えるWebブラウザがローカルにデータを記録する機能を持つHTML5に対応していることから実現できたという。「今後、これらの技術に対応したWebブラウザが登場すれば,それをサポートする」(米グーグル)という方針だ。