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 情報通信審議会 情報通信技術分科会 IPネットワーク設備委員会 安全・信頼性検討作業班は2009年6月2日,第16回の検討作業を行い報告書の骨子案について議論した。電気通信事業法では,ある電気通信サービスにおける不具合を重大事故とみなす際の「影響範囲」の最低基準を「3万人の利用者に対して2時間」と定義している。この影響範囲を超えて役務の提供が停止したり品質が低下した場合,総務大臣への報告対象となる。今回の検討作業では,多様化する電気通信サービスについて具体的にどういう事故が総務大臣への報告対象となるかを検討してきた。

 骨子案では,検討対象とする電気通信サービスとして(1)音声伝送役務と(2)ブロードバンドなどのベストエフォートサービス,(3)電子メールサービス,(4)中継系事業者の提供サービス──の4点を挙げた。さらにこの4点に関して,品質低下や事故となるケースを整理し,事故発生時の利用者保護や発生後のフォローアップ,事故報告をどう行うかについて提示した。

 (1)の音声伝送役務については,「繋がりやすさ(接続品質)」と「通話のしやすさ(通話品質)」を事故判断の基準とする方針を示した。具体的には呼損率(回線混雑などの理由で接続できない割合)が,大規模災害などにおける最大輻輳規制値と同等レベル,またはこれを超えた状態を「接続品質が低い」と定義した。また,通話時に無音や片通話の状態になる「役務の停止」や,雑音や通話中断が発生して実質的に通話が困難となる「品質低下」の状態を「通話品質が低い」と定義した。

 (2)のベストエフォートサービスについては,「役務の提供が停止した場合」に加え,「『影響範囲』を超えてリンクまたはセッションが確立できない状態が継続した場合」も重大事故に該当するとした。

 (3)の電子メールサービスに関しては,原則として自網内の設備故障に起因する事故を対象とし,「データの消失,サービスの利用不可が『影響範囲』を超える場合」と,「自網内のメール遅延(滞留)が1日を超え,かつその状態が『影響範囲』を超える場合」を重大事故とした。

 (4)の中継系事業者の提供サービスについては,サービスの提供先となる事業者の数ではなく,事故によって影響を受けるエンドユーザーの数に対して役務の提供停止や品質低下が「影響範囲」を超えた場合に重大事故とみなす方針を示した。具体的に対象とすべき設備の範囲は,今後の制度化に向けて精査が必要と指摘した。

 報告書案では,こうした重大事故が万一起きた場合の対処方法にも触れている。まず,事故発生時の利用者保護のために,利用者への周知・情報提供を徹底するよう統一したガイドラインの策定と,このガイドラインに沿った対応を行うよう求めている。事故発生後のフォローアップとしては,事業者や専門家が参加して事故発生状況の評価・分析を行い,対策に役立てる仕組みが必要と指摘した。その上で一例として,総務省のほかに各事業者,関連団体,専門家などで構成する「電気通信安全・信頼性委員会(仮称)」を情報通信審議会の常設委員会として設置し,事故に関する情報を集約して評価・分析することを提案している。最後に事故報告の様式については,事故発生に関するフォローアップを迅速に行えるよう,フォーマットの統一や記載報告の内容の簡素化,電子化などが提案されている。