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 皆さん、約3週間振りですね。本当に、ご無沙汰していました。出張が重なり、原稿の執筆がままならなくなり、休載していました。これからしばらくの間、出張が続きます。出稿頻度が少し減りますが、ご理解のほど、よろしくお願いします。

 さて今回のテーマは、「良」です。学而第一の「夫子は温・良・恭・倹・譲、以て之を得たり」の「五徳」の中に出てきます。「良」については、さまざまな先達の解釈を総合すると、善良で素直、というふうに一般的に解釈すればいいと考えています。

 そして、これは孔子の善良で素直な心や人格が一体となり、人柄や思考、態度、礼節などになって現れているわけです。心と体、態度は、孔子においては、まさに心身一如といえるでしょう。それゆえに、孔子は、弟子はもちろん、周りから尊敬されました。当時の王侯権門から自ら求めないのに、相談を受けることが多かったようです。

 さて、周りから尊敬されるのが「良」です。企業、ビジネスでいえば、“良い会社”ということになります。企業には、大会社(ビッグカンパニー)、優れた会社(エクセレントカンパニー)、良い会社(グッドカンパニー)など、さまざまです。どんな会社を目指すかで決まってきます。

 昨秋のリーマンショック以降、「本当に良い会社とは何か?」ということを考える機会が増えてきているのではないでしょうか。これは「会社は何のために存在するか?」ということと軌を一にしています。この根本軸がブレると、残念ながら理念のない(あっても、生かされない)統一性や一貫性のない会社になってしまいます。

 その意味を含めて、「良」すなわち「善良で素直な」、良い会社ということの意味を考えてみたいと思います。ところで、「善良で素直な」ということですが、具体的にはどういうことでしょうか。

松下幸之助は、「素直な心」を持った経営者の最右翼

 「素直な心」を持った経営者では、パナソニック創業者の松下幸之助が最右翼でしょう。幸之助には、『素直な心になるために』(PHP研究所)という名著もあるほどです。詳細は、同書をお読みいただくとして、「素直な心」とは「正直にして寛容な私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心」とあります。そして、「素直な心が成長すれば、心が高まり、ものの道理が明らかになって、ついには円満具足の人格を大成する」ことができるとも述べられています。

 正直は、素直な心の重要な要素になっています。筆者は、孔子の「五徳」と幸之助の「円満具足の人格を大成」の意が非常に近いと考えています。

 では、「善良」はどういう意味でしょうか。広辞苑によれば、「よいこと。特に、性質が正直で温順なこと」とあります。「善良」の意味は、中村邦夫・パナソニック会長が社長時代に唱えた「スーパー正直」という言葉が、近いと思います。幸之助の考え方や経営理念を従業員や取引先、株主などのステークホルダー(利害関係者)に分かりやすく伝えるために表現された言葉だと聞いていますが、会社の在り方や倫理観、高い透明性、公平性などを表す言葉です。しかも、大変分かりやすく、心に響きます。

 この言葉からは、中村会長の物事を包み隠さない真摯(しんし)な姿勢や、説明責任をきちんと果たそうとする決意が伝わってきます。この点は、不祥事が起きた時に、真価が問われることになると思います。