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1. 経営情報の分析システムを,ノンプログラミング製品で短期間に構築した
2. Excelでサンプル画面を作成し,難航した要件定義のスピードアップを図った
3. システムをレビューした際の追加要件には使い方の工夫などで対応した

 「予定の期日になってもシステムを設計できるほど要件定義が進んでいなかった。残り半年でシステムを稼働させるには,急いで対策を行う必要があった」。東京東信用金庫(略称:ひがしん)の経営管理システム構築プロジェクトをSEとして担当したシステムバンクの塚原兼一氏(金融システム第一部 係長)は,プロジェクトに参加した当時の様子をこう語る。

 経営管理システムは,ひがしんの顧客の預金や貸出金(預貸金),ALM(資産・負債の総合管理),決算といった各種データを複数のシステムから収集。それを多次元データベースに蓄積して,体系的に分析できるBI(Business Intelligence)システムである。

 プロジェクトのキックオフは,2008年9月。別途構築していたERP(統合基幹業務)システムとの同時導入を目指し,経営管理システムの稼働開始は,2009年4月1日に定まっていた。

 プロジェクトが直面した第一の課題は,予定期日に終わらなかった要件定義をどう進めるかだった(図1)。

図1●経営管理システム導入に際して直面した課題<br>稼働開始の時期は2009年4月に決まっていたが,要件定義が予定した期日に終わらなかった。また,業務担当者によるレビューの際にノンプログラミングで実装できない追加要件が発生した
図1●経営管理システム導入に際して直面した課題
稼働開始の時期は2009年4月に決まっていたが,要件定義が予定した期日に終わらなかった。また,業務担当者によるレビューの際にノンプログラミングで実装できない追加要件が発生した
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 システム構築はひがしんのグループ会社であるシステムバンクの担当だったが,SEの塚原氏は,前のプロジェクトが長引いたため,1カ月遅れの10月に参加した。冒頭のコメントはそのときの様子だ。要件定義は,他のメンバーによって進められていたが,「新システムのイメージを描けず,期限の9月末までに,システムに関する具体的な要件が決まらなかった」と,業務担当者の立場でプロジェクトに参加したひがしんの相澤亮一氏(経営企画室 情報管理担当 副部長)は振り返る。

 第二の課題は,開発に使った製品の仕様上の制限である。経営管理システムの開発・実行基盤には,定型分析画面をノンプログラミングで開発できる製品を利用するが,システムをレビューした際,ノンプログラミングで実装できない追加要件が発生した。

 プログラミングすれば実装できる可能性はあったが,確実に開発期間もコストも増える。

 以下では,こうした課題を,ひがしんとシステムバンクの担当者がいかに対処したか,その軌跡を見ていこう。

経営情報を多彩な切り口で分析可能に

 ひがしんが導入した経営管理システムは,預貸金の最新データなどを必要なシステムから自動取得し,一定期間分を蓄積。利回りや収益性,自己資本などがきめ細かく分析できる。大量の計算が必要な平均利率のようなデータも,地域別/支店別/商品別に集計可能だ。加えて,異常値を見つけた場合などは,ドリルダウンという操作によって,集計前の個別データを表示して原因を調べられる(図2)。

図2●導入した経営管理システムの概要<br>決算システムやCRMシステムなどからデータを取り込んで分析する。SAP NetWeaver Business Warehouseをベースにノンプログラミングで開発した
図2●導入した経営管理システムの概要
決算システムやCRMシステムなどからデータを取り込んで分析する。SAP NetWeaver Business Warehouseをベースにノンプログラミングで開発した
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 経営管理システムの構築を検討したのは,2007年ごろである。金融機関向けの規制が強化され,きめ細かなリスク管理が求められるようになったのが背景という。

 従来,ひがしんは経営情報を分析する際,必要なデータを複数のシステムから出力して,人手でExcelのピボットテーブルにまとめていた。「仮説を立てて,データを収集・分析していたが,分析範囲を広げるときにデータが不足し,改めて参照元のシステムから取得することも多かった」(相澤氏)という。

 2008年までに,ひがしんはベンダー3社から提案を受けたが,使いやすさや,別途構築する予定のERPシステムがSAP製品であるなどを考慮して「SAP NetWeaver Business Warehouse 7.0」(以下,NetWeaver BW)を新システムの基盤として選択した。

 同製品を使えば,定型的な分析は自動的に行える。一覧表やチャートは画面上で部品をドラッグ&ドロップする操作で開発が可能で,作成した画面はWebブラウザから参照できる。