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固定電話間の通話料金を大幅に低減した新しい法人向け移動通信サービスが注目を集めている。楽天傘下のフュージョン・コミュニケーションズの法人向け移動通信サービス「楽天モバイル for Business」だ。同社が構築した既存のIP電話網とウィルコムのサービスをうまく組み合わせて,通話料金を下げることに成功した。

 最近の移動通信サービスは,高速データ通信に注目が集まっているが,楽天モバイル for Business(写真1)は,あえて中小企業の通話をターゲットにした。

写真1●楽天モバイル for Businessの対応端末
写真1●楽天モバイル for Businessの対応端末
ウィルコムのPHS端末(W-VPN対応)を利用する。

 その目玉は,固定電話との発着信がほかのサービスよりも大幅に安い点である。まず携帯電話から固定電話からへの通話では,今回のサービスは3分当たり8.4円。他社サービスでは,各種割引を含まないと3分当たり45~126円となる。固定電話から携帯電話への通話の場合には,今回のサービスは3分当たり11.025円。他社のサービスでは,3分当たり73.5~126円となる。

 また,通話相手がフュージョンの固定IP電話「FUSION IP-Phone」,同じ楽天モバイル,ウィルコムのPHSの場合は,通話料が無料となる。

番号を付け替え固定発信と同等に

 今回のサービスで,固定携帯間の通話を安くできたポイントは二つある。一つは,ウィルコムが2007年に始めた「W-VPN」を利用したこと(図1)。本来は,同社のPHS網に企業のPBX(構内交換機)を接続するが,今回は同社のPHS網とフュージョンのIP電話網を接続してインフラを構築した。

図1●低価格を実現する楽天モバイルの仕組み<br>ウィルコムのPHS網と企業内のPBXを直接接続するサービス「W-VPN」を応用している。ゲートウエイでPHSの070番号とIP電話の050番号を相互変換することで,楽天モバイル端末に対する発着信を実質的にIP電話と同じにしている。
図1●低価格を実現する楽天モバイルの仕組み
ウィルコムのPHS網と企業内のPBXを直接接続するサービス「W-VPN」を応用している。ゲートウエイでPHSの070番号とIP電話の050番号を相互変換することで,楽天モバイル端末に対する発着信を実質的にIP電話と同じにしている。
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 もう一つは,050番号と070番号の変換の仕組みを利用したこと。楽天モバイルでは,ウィルコムのPHS端末(W-VPN対応)を利用する。楽天モバイルの端末は,IP電話の050番号とPHSの070番号の二つを持つ。固定電話機に対して発信する場合,ウィルコムのPHS網とフュージョンのIP電話網の間に置いたゲートウエイが,070番号と050番号を相互変換する。この処理により,外部の固定電話機は,050番号を持ったIP電話機と通話しているように見える。この結果,PHS端末でも固定電話と同等の通信料で済む。

 050と070のどちらで発番するかは,通話相手によって自動的に選択される。相手が楽天モバイル,固定電話,携帯電話,国際電話などの場合は050発番となる。一方,ウィルコムのPHS端末や緊急通報の場合は070発番となる。また,「0000」を付加して発信すると,強制的に070発番になる。

 今回のサービスは法人向けに限っているが,将来は個人向けも視野に入れているという。