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 固定通信事業者では,NTT東西の業績にやや明暗が分かれた。どちらも減収減益だがNTT東日本が前年度比497億円(2.5%)の減収,82億円(18.5%)の減益だったのに対し,NTT西日本は769億円(4.0%)の減収,61億円(44.2%)の減益だった。NTT西は707億円という大幅なコスト削減で利益を確保した格好だ。

東西で大きな差が出たNGNの進捗

 NGN(フレッツ 光ネクスト)の進捗では,NTT東日本が2009年1月~3月の四半期にフレッツ光純増の71%をフレッツ 光ネクストが占めたのに対し,NTT西日本は2009年3月末時点のフレッツ 光ネクストの契約数が2万9000にとどまった。2009年度もNTT東日本は140万のフレッツ光純増目標の中で90万~100万がフレッツ 光ネクストになるのではないかという見方をしたのに対して,NTT西日本は40万と予測する。

 今後NGN上での付加サービスの提供などで両社に差が付き,ARPUにも影響してくる可能性がある。また,両社を合計すると2009年度における250万のフレッツ光純増目標のうち半分強がNGNになる見込みだ。

 ソフトバンクはブロードバンド・インフラ事業が472億5300万円,固定通信事業が189億6800万円と固定系サービスはいずれも黒字だった。中でも固定通信事業は2006年度が29億6500万円の赤字,2007年度が33億4000万円の黒字だったところから大幅な増益を果たした。

 固定通信が増益した理由は,固定費の削減と,直収電話サービス「おとくライン」が順調だったことだ。同社の回線契約数は前年から約20万増えて160万8000に達した(表1)。このうち法人契約が77.6%を占めており,各四半期のARPUから算出した平均ARPUは6291円に達する。これはNTT東西のフレッツ光のARPUを上回る数字だ(図1)。法人契約のうち30%を占める大企業向け契約は,2008年度の平均ARPUが9048円と高く収益に貢献した。

表1●主な固定系通信サービスの回線契約数推移
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表1●主な固定系通信サービスの回線契約数推移
図1●主な固定系通信サービスのARPU推移
図1●主な固定系通信サービスのARPU推移
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 ブロードバンド・サービスではADSLのユーザーが約50万減って429万9000になった。ARPUも微減で前年比8.9%減収だが,設備の減価償却費減少などコストが下がっているため営業利益は前年比19%伸びた。また,FTTHではNTTの回線を使った「Yahoo! BB 光 with フレッツ」を2009年2月に始めたことで,従来の「Yahoo! BB 光」から将来期待する収益が無くなったとして,通信設備など約290億円を特別損失として計上した。

 KDDIは固定通信事業の赤字が続いているが2010年度の黒字化を目指す。赤字の要因となっているFTTHの損益を改善し,ユーザー数を拡大する。収益性の高い法人向けのサービスも一層力を入れるが,直収サービスのメタルプラスは縮小していく。