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 また,今回紹介されたサービス・イメージには,デジタルラジオ実用化試験放送の枠組み内で実施していた音声コンテンツをメインとしたデジタルラジオの1セグメント/3セグメントのリアルタイム放送サービスや,BML(Broadcast Markup Language)を使ったデータ放送サービス,現行のワンセグよりも高画質な高精細放送サービス以外に,次のようなマルチメディア放送ならではの特徴のあるサービスが提案されている。

  • MPEG-2サラウンド方式を用いた5.1chサラウンド放送サービスやデジタルサイネージ・デジタルフォトフレーム向けコンテンツ配信サービス
  • 3Dの基データを送り受信機側で3D表示を行う3DCGサービス
  • 裸眼で視聴できる立体視映像化されたコンテンツを放送する立体視映像サービス
  • 車載端末向け交通情報配信サービス
  • ゲーム・コンテンツそのものやゲーム・データのみを送るゲーム配信サービス

 特に,5.1chサラウンド放送サービスは,音声符号化方式のMPEG2-AAC SBR(Advanced Audio Coding-Spectral Band Replication)の拡張版でSBRよりも高い圧縮率で5.1chサラウンドが実現できるMPEG-2サラウンド方式を採用することで,現行のワンセグでは実現できていない5.1chサラウンド放送サービスを1セグメントでも実現できる。さらに,1つのストリームで,サラウンドに対応していない受信機はステレオ放送として再生し,サラウンド対応受信機は2チャンネルの音から5.1に分離して再生できる(写真2)。これにより,例えばカーナビなどの対応受信機では5.1チャンネル・サラウンド,未対応の携帯端末ではステレオ放送として楽しむことができる。

写真2●MPEGサラウンド方式による5.1chサラウンド放送
写真2●MPEGサラウンド方式による5.1chサラウンド放送
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 このほかに注目しているサービスとしては,デジタルサイネージやデジタルフォトフレーム向けのコンテンツ配信サービスが挙げられる。これは,街頭やバスなどの公共機関内のディスプレイ,個人所有の携帯機器やデジタルフォトフレームを対象とした放送の新しいメディアとして注目されており,さらに,全国向け放送サービスよりも地域や地方といったエリアを限定したサービスに向いている(写真3)。

写真3●デジタルサイネージ・デジタルフォトフレーム向けコンテンツ
写真3●デジタルサイネージ・デジタルフォトフレーム向けコンテンツ
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2010年夏ごろをメドに策定を完了しARIBへ提案

 今後,運用規程策定作業班では,「現行のワンセグをベースとしつつ,映像の高画質対応やサラウンド対応などのリアルタイム放送サービスの運用規程を第1期として2009年末をメドに先行して策定する」(黒田氏)。早期の立ち上げと普及の視点や,端末メーカー側の受信機開発期間を考慮すると,ハードウエア的なハードルが無いよう現状のワンセグ受信機や3セグメントのデジタルラジオに対応した受信機を活用することがベストとの考えからである。なお,地方ブロック向けマルチメディア放送は,地上デジタル音声放送の技術方式であるISDB-Tsbをベースとした方式であるため,現行のワンセグとは違い,リアルタイム放送は1セグメントと3セグメントの2種類の放送が行われる。一方,マルチメディア放送の特徴でもあるIPパケット放送や放送波によるダウンロードについては,「第1期で取りまとめたリアルタイム型放送に追記する形で第2期に策定する予定であり,実放送に間に合うように取りまとめたい」(同)とし,ARIBへは「2010年夏をメドに提案する予定」(同)である(図2)。

図2●VL-Pの検討スケジュール
図2●VL-Pの検討スケジュール
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 通常,運用規程が策定されてから対応端末ができるまで,つまりサービス開始までに約18カ月が必要という「18カ月ルール」がある。そして,VL-Pでは2010年夏にARIBへ提案することを目標としていることから,VHF-Low帯でのマルチメディア放送は,2011年末から2012年春までに放送を開始することを想定したスケジュール動いていると思われる。なお,ダウンロード機能やIPパケット放送機能に関する運用規程を策定するよりも,おそらく,50を超えるサービス提案やターゲットとなる受信端末の種類の多さ,さらには立体視映像や3DCGといった端末の機能に影響するサービスが含まれていることから,サービス開始時点で適応される第1版の運用規程に盛り込まれる機能の絞り込み作業の進捗が今後のスケジュール影響することになるだろう。今後VL-Pでは,10月に開催されるCEATEC JAPAN 2009においてセミナーを予定しており,この10月時点での進捗状況が注目される。