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 米Microsoftが5年も前にセキュリティ/パソコン管理スイート製品「Windows Live OneCare」(当時は「MSN OneCare」)を発表した際,米Symantecや米McAfeeなどの消費者向けセキュリティ製品を手がける企業は驚くべき勢いで反応し,「俺たちの縄張りを荒らすな」とMicrosoftを攻撃した(このときSymantecのCEOであるJohn Thompson氏は,「OneCare」をシェイクスピアの「空騒ぎ」と称した)。その後,各ベンダーは恥も外聞もなくOneCareの猿まね製品に取り組み,「Norton 360」や「McAfee Family Protection」といったものをリリースした(関連記事:米Microsoft,PC保守サービスの一般向けベータ提供を開始【レビュー】「Windows Live OneCare」を試す(第1回))。

高速なセキュリティ・ソフトをMicrosoftが無償提供へ

 こうしたベンダーの対応は,結果的に大成功した。Microsoftのセキュリティ製品市場におけるシェアは1ケタ台にとどまったのに対し,2008年にSymantecは22%,McAfeeは10.9%を獲得した。そこでMicrosoftは再び方針を変えることにした。同社はOneCareの販売を2009年に打ち切り,代わりに無料マルウエア対策ソフトウエア「Morro」(開発コード名)の提供を開始すると,2008年の終わりに発表したのだ。

 Morroの正式な製品名は,その後「Microsoft Security Essentials(MSE)」となっている(関連記事:MSが無料のウイルス対策ソフト、Live OneCareは販売終了へMicrosoftの無料マルウエア対策ソフト「Morror」ベータ版が本日公開)。同社はMSEのベータ版をリリースしたばかりだが,その内容は素晴らしい。使った人によると,MSEはサイズが小さく,キビキビと高速に動き,SymantecやMcAfeeの重量級スイート製品と違ってパソコンをもたつかせないという。そのうえMSEは無料で入手可能となる。

 こうしたMicrosoftの新たな無料製品に対し,重量級セキュリティ製品のベンダーは,どうやって対抗するのだろうか。

セキュリティ製品ベンダーは一斉に猛反発

 もちろん攻撃の激しさを増すことになる。Symantec製品マネージャのDavid Hall氏は2009年7月第1週,「無料マルウエア対策ソフトウエアだけだとパソコンを危険にさらす。無料製品しか使わないでいると,昨今の脅威からは保護されない。マルウエアの感染を避け続け,ID情報の不正取得被害を避けるのに必要な保護が受けられなくなる。Microsoftの無料セキュリティ製品は,実質的に販売を打ち切ったOneCareの機能限定版に過ぎない」と主張した。

 Symantecによると,MSEに関する真の問題は,現在オンライン環境で起きる感染の大部分が「ドライブバイ・ダウンロード」と呼ばれる手口を使っていて,その多くがWebブラウザ経由で発生することだという(もっともMicrosoftの「Internet Explorer(IE)7」と「IE 8」は,いずれもこの種の攻撃に対抗可能である)。だが,Windowsユーザーには,いつものように過去のマーケティング合戦を振り返ってもらいたい。SymantecやMcAfeeなどセキュリティ製品ベンダーは,たいていのパソコンに試用版セキュリティ製品を無料添付している。だが,これらの試用版のユーザーが製品版にアップグレードしたり,継続的に有料アクティベーションしたりすることは多くない。つまり,この種の製品をそのまま使っているほとんどの人が,保護されないままオンライン状態に置かれているのだ。MSEのような製品(さらに,必要不可欠ないくらかの常識との組み合わせ)は,期限切れのセキュリティ製品に頼るよりもはるかに優れた選択となる。

 筆者は2003年7月,「Microsoft Should Offer Free Antivirus Technology to its Windows Customers」(「MicrosoftはWindowsユーザーにウイルス対策技術を無償提供すべき」)と題する記事を書いた。その中で筆者は,「Windowsユーザーのことを第一に考え,Microsoftはパートナ企業の要求よりもユーザーのセキュリティを優先すべき」と主張した。このことの明白性は,記事の執筆当時よりも,インターネット経由の接続性に対する依存度がかつてないほど大きくなった現在の方が高い。

 6年もかかったが,とうとうMicrosoftにこの考え方が受け入れられてうれしい。ただし,セキュリティ市場におけるMicrosoftの失敗と消費者の無関心を食い物にして太ったセキュリティ・ベンダーは,大騒ぎで対抗するだろう。セキュリティ・ベンダーには好きなことを言わせておこう。いつも通り,Windowsユーザーが最優先である。

関連記事(英文):

・「Microsoft Should Offer Free Antivirus Technology to its Windows」(「MicrosoftはWindowsユーザーにウイルス対策技術を無償提供すべき」)
・「Microsoft to Launch Free Anti-Malware Beta To-Morro」(「Microsoftの無料マルウエア対策ソフト「Morror」ベータ版が本日公開」)
・「Microsoft Offers Security for Free: But Only for Individuals」(「Microsoftがセキュリティ製品を無償提供,ただし個人ユーザー専用」)