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 新たな技術トレンドの登場と社会の変化の両側面から、IT技術者やIT業界を取り巻く環境は大きく変わってきた。IT技術者として、あるいはITベンダーという企業体としても、単に技術トレンドを的確に把握するだけでなく、IT業界全体がどのような市場の変化にさらされているかを知るための、より高い視点が求められる傾向にある。

 技術面では、より個人を対象にしたテクノロジの動きが急だ。「iPhone」や「Android携帯」といったスマートフォンやネットブックの登場・普及などに見られる端末の進化、WiMAXや次世代PHSなどの新たな通信サービスの胎動が、ITの利用者環境を大きく変えようとしている。

 同時に、クラウドコンピューティングのように、ITベンダーと利用者の関係に大きな影響を及ぼすような変革が生じ始めている。社会的な変化の側面からも、2008年に本格化した世界規模の経済危機の影響により、IT投資の“集中と選択”の度合いは、これまでになく強まっている。

127個の要素技術をピックアップ

 こうした変化への対応に向けた“羅針盤”になることを目指し、情報サービス産業協会(JISA)では、「情報技術マップ調査」(概要説明書)を実施している。技術者がどんな技術を身に付けようとしているのか、業界全体として技術者はどんな環境に置かれているのか、を把握するのが目的だ。

 2004年度に野村総合研究所のノウハウをベースに調査を開始して以来、今回の調査で5年目を迎えた。SI(システムインテグレーション)業界のトレンドを俯瞰するための、定点観測的な役割が強まっている。

 情報技術マップ調査のよりどころとなるのが、「ITディレクトリ」だ。これは、ITサービス市場を俯瞰するうえで必要と考えられる要素技術をピックアップし、整理・体系化したものである。毎年、最新状況に応じて見直し、2008年12月に実施した調査時には、合計127個の要素技術をピックアップした(表1)。

表1●情報技術マップ調査のよりどころとなる「ITディレクトリ」
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 最新のITディレクトリでは以下のような修正を加えている。

(1)グリッド/ユーティリティコンピューティングを、クラウドコンピューティングとしてまとめた
(2)コンテンツ/ナレッジ管理およびコラボレーション技術の「メタデータ技術(RDF、RSSなど)は、広義には「セマンティックWeb」の実現を目指す技術に位置付け、「メタデータ技術/セマンティックWeb」として集約した
(3)端末技術については、これまでPDAやタブレットPC、ウェアラブルコンピュータなどのデバイス別にリストアップしていたものを、昨今のネットブックなどの多様な端末の登場を受け、モバイルインターネット端末として集約した。
 SI業界としてこれらを利用するのは、実質的にこれら端末向けアプリケーションの開発が中心であるため、「モバイルインターネット端末向けアプリ開発」とした
(4)開発環境、開発ツールに関して、性能測定ツールとテストツール・品質管理ツールは、「ソフトウエア検証ツール」として定義した
(5)ITガバナンス・マネジメント分野のITILにITSMSを追加し、「ITIL/ITSMS」とした