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教育環境の違いが認知度に影響

 質問内容としては、技術者に、新技術への取り組みの姿勢を、「取り組み1:新技術への取り組みに関する施策や人材育成施策が会社または組織として定められており、それらを利用している」という積極的な選択肢から、「取り組み4:新技術に取り組みたいが、時間などの制約があってうまくできていない」「取り組み5:新技術に取り組む必要性がない、または必要性を感じない」という消極的な選択肢までのいずれかで回答してもらった。

 それぞれの技術に対する取り組み姿勢の各グループに属する回答者が、ITディレクトリにある127の技術のうち、「それらの技術について知っている」「それらの技術について知らない」と答えた結果(技術認知度)をグラフ化したものが図3だ。技術全体の認知度に加え、今回の調査で今後の着手意向が1位だったクラウドコンピューティングとBCPについても、取り組み姿勢と認知度の関係を示してある。

図3●技術への取り組み姿勢と、技術の認知度との関係
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 全体として、組織的な新技術への取り組み施策や研修によるサポートがある「取り組み1」と「取り組み2」と回答した技術者は、比較的新しい技術についてもきちんと認知している。組織的なサポートがなくても、技術者個人の努力で新技術へ取り組んでいる「取り組み3」のグループでは、場合によっては「取り組み2」を上回るケースもある。

消極的なグループは認知度が低下

 しかし、組織的なサポートがなく、技術者自身が「取り組む時間がない」「取り組む必要性を感じない」と回答している「取り組み4」または「取り組み5」のグループでは、明らかに「その技術を知らない」という回答が増える傾向にある。表2の着手意向の上位五つの技術に関して言えば、取り組み姿勢が「取り組み3」から「取り組み4」になると、「その技術を知らない」と回答する割合が平均で14.4%増加している。

 新技術への取り組みに対して消極的な回答をしている技術者は、顧客やパートナー企業などの発注元から利用する技術を指定されることが多く、技術の選択に関する裁量が少ない状況に置かれていることが多く、「あえて新しい技術に取り組まなくても現状は問題がない」と判断しているとの見方もある。

 しかし、比較的話題になりやすい着手意向上位の技術について、認知度にこれだけの差が出ているということは、長期的に考えると新しい技術への追随が難しくなったり、新たなビジネス機会を逃してしまったりするリスクが懸念される。

 個々の要素技術の評価だけではなく、技術者自らが、あるいはITベンダーという企業体として新技術へどう取り組むかは、長期的に検討すべきである。

亀津 敦(かめつ・あつし)
情報サービス産業協会(JISA)技術委員会 技術統計部会・技術情報マップWG
野村総合研究所(NRI)情報技術本部技術調査部主任研究員。ITアナリストとしてIT動向を分析している。技術動向調査やコンサルティングを通じて、企業のIT投資や研究開発の戦略立案を支援する活動に従事する。