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 携帯端末向けのユーザー・インタフェース・デザインを手がけるヤッパは,出版社向けに携帯電話主要3キャリアに対応した電子書籍ソリューションを提供する。同社の伊藤正裕代表取締役社長に,電子書籍ビジネスを手がけた経緯や今後の事業方針について聞いた。

 同社は元来,携帯電話機向けの画像処理技術や組み込み機器向けのユーザー・インタフェース・デザインを得意とする企業だが,2005年に産経新聞社の新聞をパソコン向けに有料配信するためのシステムを手がけたことをきっかけに,電子書籍関連の事業に進出した。

 産経新聞社のパソコン向け電子新聞「産経NetView」は,毎日発行している産経新聞の紙面をレイアウトそのままにパソコンで閲覧できるサービスである。アドビシステムズのFlashを用いることで,専用のブラウザーを使わずに一般のWebブラウザーで見られるのが特徴である。紙面のDTPデータをWeb配信用のデータに変換するシステムや配信システム,Webブラウザー用ビューワーの開発などをヤッパが担当した。中でも紙面データの変換については,「グラフィックス処理を得意とする当社の技術を用いることで,朝刊1紙の変換に市販の処理ソフトで4時間近くかかる作業を,自社開発のソフトでは約20分で処理している」(伊藤社長)と,同社の技術の高さをアピールする。

 伊藤社長はこれからの電子書籍ビジネスを考える上で,異なる技術やコンテンツを組み合わせて新しいサービスを生み出す「マッシュアップ」がキーワードになるという。単純に書籍を電子化して売るだけでなく,そこに新しい技術や機能を追加し,電子書籍ならではのサービスを提供する必要性を力説する。「定期購読者に雑誌を自動配信する,新聞にフリーペーパーをセットにして提供する,広告リンクをたどって商品購入やお店の予約ができる,興味のある記事をクリッピングできる,バックナンバーを読めるなど,コンテンツへの課金だけでなく,こうした追加サービスや新しい広告手法も含めて収益化する必要がある」という。

 米国では米Amazonや米Sony Electronicsの電子書籍専用リーダー向けのビジネスが注目を集めているが,「日本では携帯電話機やスマートフォン向けのビジネスが主流になる」と伊藤社長は予測する。「小さな液晶画面では読む気がしないという意見も聞くが,我が社のテスト・マーケティングでは,モバイル機器向の画面でも喜んで電子書籍を使う人が多いという結果が出ている」と語り,一般の利用者は手軽さの面で専用リーダーよりも携帯機器を電子書籍端末として選ぶと説明した。さらに「日本は携帯機器の高い普及率や高速な通信環境,携帯機器で通話やメール以外にコンテンツを利用する習慣があるなど,携帯機器向けの電子書籍ビジネスを展開する環境が十分整っている。この市場に魅力的なコンテンツを提供できれば,1年以内に世界で一番進んだ電子書籍市場に育つのではないか」という見通しを示した。