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 今回はサービス業の典型である旅館業界を見てみよう。この業界は国内旅行の低迷や旅行形態の変化で厳しい経営状況にある。

 旅館軒数は2005年に5万5567軒と3年間で10%減少し、客室数も約85万室と7%減少した。1旅館当たりの平均客室数はわずかに上昇して15.3室となったことから、小規模旅館の廃業が見て取れる。定員稼働率は38.7%と、ホテルの60%強を大きく下回る。旅館の約40%は赤字で、土地バブル期の過剰な投資が今になって重くのしかかり、老朽化も進んでいる。

 旅館の主な延命策は地域ぐるみでの情緒ある温泉街の演出や、特徴あるサービスや名所、特産品の提案である。日帰り客でも楽しめる温泉街のアピールやイベント情報の発信にも力を入れている。これらの成功例が大分県の由布院温泉や兵庫県の城崎温泉、有馬温泉などであろう。

 対照的に、地域ではなく、旅館単体で成功しているところがある。石川県の能登・和倉温泉にある加賀屋だ。和倉温泉自体は決してにぎやかな温泉街ではないが、創業102年の加賀屋は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞新社)で29年連続総合日本一を誇る老舗旅館である。客室数は246、宿泊定員は1400人に及ぶ大型旅館で、年間22万人が利用する。客室稼働率は約80%と高い。