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 30%という目標は、良品計画がベンチマークするしまむらやファーストリテイリング(ユニクロ)、イオン、ニトリの収益構造を参考にして、「努力次第では到達可能だが少し高めのハードル」として松井が決めた数値だ。販管費率が30%を超える良品計画は業界の中でも数値が高め。達成するには根本的なコスト構造の見直しが必要になる。

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合言葉は「外部の優良企業を見習え」

 松井が30%委員会で繰り返し言ってきたことが2つある。1つは「他社に学べ」、もう1つは「政策の着地」だ。国内外の優良企業を研究し、時には外部の人材を引き込んだり、自ら相手先に足を運び、他社の良さを貪欲に吸収する。それを自社なりの実行計画に落とし込み、300店を超える店舗や本部、物流センターに根づかせる。

 他社に学ぶ効用について松井は「当社の常識が他社の非常識と理解できることだ」と言う。1992年に西友から転じ、無印良品の大ヒットを経験した松井自らが「過去の栄光」というプライドを捨て、他社に学ぶ姿勢を打ち出した。もちろん他社のやり方を単にまねるだけでなく、自社に合う手法にアレンジすることを忘れない。だからこそ松井は、30%委員会で決めた政策を3000人以上の店員が働く現場にどうやって着地させるかにこだわる。時間の大半は「どうやるか」というアクションプランの設計に費やす。そのためか、社員は頻繁に「着地」という言葉を口にする。言い換えれば、「現場への徹底力」となる。冒頭の松井の指摘もここからきている。有言実行とばかりに、松井は週末に店舗を見て回っている。

 松井は30%委員会を立ち上げる前、着地率を上げるための下地を作っている。ここでも外部の力を巧みに使った。2002~2003年にかけては、イトーヨーカ堂出身で同社の業務改革(ギョウカク)に深くかかわり、独立後はユニクロの立て直しに尽力したリテイルサイエンス(東京・渋谷)の代表取締役である大久保恒夫を招へいした。大久保は松井に、かつての無印良品ブームが今になって商品の「作り過ぎ」の無駄を生んでいると進言。売れる商品はアクセルを踏んで仕入れて売れる店の売れる棚に並べ、売れない商品はすぐにブレーキを踏んでそれ以上は作らないといった「当たり前のこと」を良品計画に植えつけていった。

 さらに松井は、2002年5月から2004年5月まで良品計画の社外取締役を務めた吉野家ディー・アンド・シー社長の安部修仁から、店舗オペレーション改革を専門に手がけるフランチャイズアドバンテージ(東京・港)の代表取締役である田嶋雅美を紹介されている。安部の助言に従い、松井は田嶋を店舗に送り込み、店舗作業の標準化や簡素化、店長が店員に決められたオペレーションを徹底させる手法を現場で伝授してもらった。

 大久保と田嶋という2人のプロとの協業で、松井は現場改革を通したコスト削減に自信を深め、2004年下期に30%委員会へと昇華させた。