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 「どれでも同じ」と見られがちなIAサーバー。だが、インテルXeonプロセサ5500番台(開発コード名は、Nehalem-EP)を搭載する各社サーバーは、マザーボードや搭載部品の設計を全面的に見直している。ここでは、スペック・シートには現れない工夫や設計上のこだわりを、サーバーの内部に求めていく。第1回はまず、サーバーに設計の全面見直しを迫った、Nehalem-EPの刷新点をみてみよう。

コスト削減のキーワードは省電力と仮想化

 IT投資に占める運用管理コストの割合を下げることは、ユーザー企業にとって大きな課題の一つである。そのために各社は、社内にある多数のサーバーを統合して管理コストを下げたり、グリーンITを導入して省電力化を図ったりし始めている。特に、データセンターやクラウドコンピューティングのように、膨大な数のサーバーがまとまって稼働する環境では、喫緊の課題になっている。

 こうした要望に対して、インテルが出した答えが、2009年4月に登場したサーバー用プロセサXeon 5500番台(開発コード:Nehalem-EP)である。Xeon 5500番台は、「Pentium Proの登場後、初めて」というほどに、マイクロアーキテクチャが大幅に変更されている。

 変更で狙ったのが、性能と電力効率の向上と、仮想化機能の強化。省電力機能を搭載し、性能と電力消費を自動的に最適化するなど、消費電力当たりの性能を向上させた。仮想化機能の強化では、サーバープールを柔軟に構築・運用できるようにしている。

 インテルの資料によると、2005年に導入したシングルプロセサのXeonサーバー184台分と同等の性能が、Xeon 5500番台のプロセサ搭載サーバーなら21台で実現できるという。年間電力コストは約90%削減できるとしている。

プロセサ・バスの変更などで高性能化

 Xeon 5500番台のプロセサでインテルは、プロセサの基本設計であるマイクロアーキテクチャを大幅に変更した。具体的には、(1)プロセサ・バスを従来のFSB(フロントサイドバス)から「QuickPathインターコネクト(QPI)」に変更し帯域幅を増大、(2)ハイパー・スレッディング・テクノロジによるマルチスレッド・アプリケーションのスループット向上、(3)ターボ・ブースト機能によるプロセサの処理速度向上、などである。

 以下では、これら三つの機能について説明する。

図1●Xeon 5500番台のプロセサが採用したQuickPathインターコネクト
プロセサ同士やプロセサとI/Oコントローラ間をそれぞれ1対1で接続する。データ転送速度は、リンク当たり最大25.6Gバイト/秒
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図2●FSBを使用したXeon 5000系システムのブロック図
プロセサがマルチコアになると、FSB帯域幅やメモリーアクセス遅延がパフォーマンスに影響する
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 Xeon 5500番台のプロセサで採用されたQPIは、プロセサ同士の接続やプロセサとI/O間をPoint to Pointで接続するための仕組みだ(図1)。従来のFSBは、プロセサとチップセット(メモリーコントローラ、I/Oコントローラなどを含む)を接続している。FSBをQPIに変更したことで、I/Oやメモリーアクセスのボトルネックが大幅に改善されたことが、性能向上に大きく寄与している。

 FSBの帯域幅は最も速いもので1600MHz。データ転送速度にすると最大12.8Gバイト/秒である。プロセサがFSBの帯域幅いっぱいのデータ転送速度を使ってメモリーにアクセスするには、メモリーも高速のデュアルチャネル・メモリーDDR2-800(6.4Gバイト/秒×2)を使用する必要がある(図2)。

 シングルコアのプロセサの時代に、FSB方式は登場した。一つのプロセサがFSB帯域をすべて使用できるから、FSB帯域とメモリーの帯域を増やせばパフォーマンスは高まる。

 しかし、マルチコアプロセサの場合、プロセサ内に二つまたは四つのコアが存在する。それらを1本のFSBに接続すると、2/4コアが同時に一つのメインメモリーにアクセスすることになる。すると、一つのコアが使えるFSBの帯域幅が減り、メモリーアクセス速度の低下や遅延(レイテンシ)が発生する。