PR

 少子高齢化の流れがますます加速している。2025年に65歳以上の高齢者は人口の約30%を占め、逆に生産年齢人口は6ポイント程度の減少が見込まれる。ところが、高齢化社会への対応は年金や医療などの社会保障制度の混乱や、2005年度には88兆円に上った社会保障給付費がさらに膨張するのに、相変わらず既存の枠組みを出ない改善検討に終始している。2008年7月に経済同友会の「社会保障委員会」で伊藤達也議員(社会保障国民会議)と意見交換したが、社会保障制度を構成する年金と医療、介護、福祉の縦割り行政の打破や、2500万人に達する高齢者の80%を占める健常者の就業や社会活動の拡大は、具体的な検討課題に上っていない。こうしたサービスが統合されてワンストップ化されれば、サービスレベルの向上のみならず、大幅なコストダウンが可能になる。

 一方、日本のイノベーション戦略の根幹に据えられたサービス・イノベーションについても、「日本のGDP(国民総生産)と雇用の70%を占めるサービス産業の生産性向上を図り、製造業と並ぶ日本経済の双発エンジンとする」程度の位置付けでは弱い。筆者はサービス産業こそ生活に密着し、老若男女を問わずに日常生活で接点があり、サービスの革新が少子高齢化をはじめとする様々な課題の解決につながると考えている。メーカーが工場の集約や海外移転、技術革新による省力化と自動化を進めている現実を考えると、製造業での雇用創出や高齢者就業の道は限られる。これに対し、サービスを参加交流型や共生・共創型に変えることで、受給者のニーズに即したサービスの適正化や業務分担によるコスト削減が可能になる。

 しかもサービスはどの地域にも存在し、構造的、社会的な取り組みを実施することで、高齢者の雇用や潜在労働力の活用、地域活性化への対応に大きな効果を生む可能性が高い。