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 無線アクセス・サービスを提供する通信事業者にとって,限られた通信リソース(帯域)をいかに効率的にユーザーに割り当てるかがシステム設計のカギとなる。なぜならば,効率的にすることによって,ユーザーの収容数の増加やスループットの向上にもつながるからである。

 通信リソースの割り当ての大前提として,上りと下りの通信をどう配置するかのという点がある。送信と受信を同時双方向に行うためには,二つの方式がある。一つはFDD(frequency division duplex)と呼ばれる周波数領域で上りと下りを分ける方式である。上りと下りそれぞれに別の周波数帯を割り当てる。現在,世界で開発が進められているLTEなどがFDD方式を使う。

 上りと下りを配置するもう一つの方式がTDD(time division duplex)である。時間領域で上りと下りを分ける。ある一定の時間(タイム・スロット)を送信に割り当てたら,次の一定の時間を受信に割り当てる。この送信と受信を高速に繰り返すことで,ユーザーには同時双方向の通信を提供する。

 XGPはTDD方式を使う。TDD方式のメリットは上りと下りで同じ周波数帯域を使うことだ。電波伝搬路の品質状況は時々刻々と変化する。その状況に合わせて,基地局や端末は最適な通信ができるように,電波や信号に対し制御を行う。FDD方式では上りと下りで周波数帯域が異なり変動要因の相関性が低いことから,この制御が難しいとされる。このとき上りと下りの周波数が同じTDDなら,周波数領域で生じたさまざまな変動要因はもちろんのこと,高速に送受信を繰り返すことで時間領域においても補償しやすいというわけだ。

TDMAにOFDMAを組み合わせる

 それではTDD方式を用いるXGPの無線フレームの構成を具体的に説明しよう(図3-1)。無線フレームを単位に,基地局が通信リソースの割り当てを行う。基地局は,無線フレーム単位ごとにその通信リソースを割り当てるユーザーや伝送速度などの通信条件が最適になるように制御する。

図3-1●無線フレームの構造と採用する主な技術<br>XGPの特徴はTDDやTDMAといった時間軸方向で通信リソースを分割する伝送技術を採用している点である。色の付いたブロックが各ユーザーに割り当てられた通信リソースを示している。上下対称に割り当てられていることがわかる。色が透けているブロックは制御チャネルである。
図3-1●無線フレームの構造と採用する主な技術
XGPの特徴はTDDやTDMAといった時間軸方向で通信リソースを分割する伝送技術を採用している点である。色の付いたブロックが各ユーザーに割り当てられた通信リソースを示している。上下対称に割り当てられていることがわかる。色が透けているブロックは制御チャネルである。
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 XGPの無線フレームの長さは5ミリ秒である。TDD方式なので,その半分を送信,もう半分を受信に使う。つまり,送信と受信のフレーム(サブフレーム)はそれぞれ2.5ミリ秒となる。さらに各サブフレームを四つのタイム・スロットに分割する。このように一つの無線フレームは四つの送信スロットと四つの受信スロットで構成されることになる(図3-1の下側)。

 基地局はスロットごとにユーザーを割り当てる。このようなユーザーを割り当てるしくみのことを「多元接続方式」と呼び,時間方向で分割したタイム・スロットごとにユーザーを割り当てる方式を「TDMA」という。TDMAはtime division multiple accessの略で,時分割多元接続とも訳される。

 実は,ここまで説明したTDD方式とTDMA方式は,無線フレームの長さも含めて現行のPHSと同じである。XGPは現行PHSとの共存性と親和性を考慮してTDD方式と無線フレームの長さ,TDMAのスロット構成をそのまま引き継がれた。

 さらにXGPでは,「OFDMA」(orthogonal frequency division multiple access:直交周波数分割多元接続)と呼ぶ多元接続方式を新たに採用し,TDMA方式と組み合わせている。OFDMAは,OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)という複数のサブキャリア(副搬送波)を使い,そのサブキャリアを直交させ多重することで伝送効率を上げる技術を使っている。OFDMAは,OFDMを使った多元接続方式である。

 XGPのOFDMAでは,複数のサブキャリアをまとめたサブチャネルを周波数領域の単位としてユーザーに割り当てる。現在のWILLCOM CORE XGPでは,全部で9個のサブチャネル(帯域幅900kHz)を使っている(図3-1の左側)。