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 今回は、学而第一の「夫子は温・良・恭・倹・譲、以て之を得たり」の「五徳」の中の「恭」についてです。「恭」については、論語のほかの箇所にもいくつか登場しています。

 例えば、陽貨第十七には、次のような文章があります。

 「子張、仁を孔子に問う。孔子日わく、能く五者を天下に行うを仁と為す。之を請い問う。日わく、恭・寛・信・敏・恵。恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任ず、敏なれば則ち功あり、恵なれば則ち以て人を使うに足る」

 読めば読むほどに、深い味わいが心に伝わってくるような気がする言葉です。「読書百遍、意おのずから通ず」という言葉がありますが、この文章にもそういう味わいがあるように思います。

「恭(うやうや)しい」は、礼(うや)を重ねて形容詞化したもの

 さて、「恭」です。「恭」の意味は、「うやうやしい」とされますが、以前から、何か深い奥ゆかしさや雅な品のような意味合いを感じています。礼は、「うや」とも読み、この「礼(うや)」を重ねて形容詞化したのが「うやうやしい」という語といわれるようです。

 つまり、礼の上にさらに礼が重ねられるという意味なので、「丁寧で腰が低く礼儀正しいうえに、さらに深い敬意と細やかな心遣いがある」というような意になると思います。そのことから、慎み深い、謙虚で驕らない、というような意味にもつながってきます。

 そのような意味を考えた時に、雰囲気や所作など、まず浮かんできたのが、日本文化の伝統の結晶ともいうべき吉兆や新喜楽、金田中といった名料亭のイメージでした。日本の料理史上、屈指の名料理人ともいうべき高級料亭「吉兆」の創業者の故湯木貞一氏は、自身の考える料亭の本質として、以下の3つを上げていたそうです。

 (1)お料理
 (2)茶の湯
 (3)風流

 そして、この3つが絶妙・自然にそろって、料亭は名声を博すという。まさに、これによって『世界之名物 日本料理』が生まれるといえるでしょう。

 (3)の風流は、おもてなしの真心から発する趣向、演出の意味とも考えられます。この3つの一つひとつを深耕・探求していくだけでも、奥が深く、限りないことでしょう。いずれにしろ、何をするにしろ、それぞれの道、事業の本質を考えていくことは重要でしょう。