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アクセンチュア IFRSチーム
システムインテグレーション&テクノロジー本部
マネジャー
岡田 朋子

 XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は,企業の財務諸表などの開示情報を作成・流通・利用するために標準化したXMLベースの言語です。1998年に米国で策定されました。

 IFRS(国際会計基準)と組み合わせると,国をまたいで同業種企業間のIRデータを容易に比較できるようになります。

データ定義とデータ値で構成

 XBRLは,データ定義(タクソノミ)と,データ値(インスタンス)という2つの要素で構成します。タクソノミは,財務諸表の項目・科目や,項目・科目同士の関係を定義したものです。インスタンスは,実際の値の集まりです()。

図●XBRLの例
図●XBRLの例
出所:東京証券取引所「XBRLとは」「財務諸表インスタンスサンプル」
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 XBRLは会計基準・用途などに沿ってそれぞれ定義します。例えば,東証(東京証券取引所)の適時開示情報閲覧サービス「TDnet」の場合,日本の会計基準に沿って財務諸表データの授受ができるように定義しています。

 上場企業は,財務諸表データをTDnetのデータ定義に沿ったXBRL形式で作成・提出します。閲覧者は,その定義に沿ってXBRL形式のデータを表示することで,日本基準に沿った財務諸表を参照できます。

 日本では,東証のTDnet以外にも,金融庁のEDINET,国税庁のe-Tax,日本銀行における金融機関などからの財務状況報告でXBRLを採用しています。

財務諸表情報の開示・分析負荷を軽減できる

 XBRLを利用すると,システム化による開示・分析負荷を軽減することが可能になります。

 各社の財務諸表を分析するためにはこれまで,利用者自身がHTMLやPDFの財務諸表から分析システムなどへ,データを手作業で入力する必要がありました。データを授受する双方でXBRLに対応する仕組みを構築しておけば,人手の介在を最小限にした分析が可能となります。

 結果として作業負荷が軽減するほか,マニュアル処理による誤入力や転記ミスが低減するので,信頼性の向上が見込めます。財務諸表をデータで取得することで,利用側での加工・活用が容易になるというメリットもあります。

 開示する側にとっては,社内の会計システムにXBRL向け機能を追加することで,財務諸表作成の作業負荷を軽減できると予想されます。一方,東証など情報を取りまとめて扱う立場の企業は,XBRLの採用で精度がより高い財務データを提供できるようになります。勘定ごとの整合性チェックなど,財務情報の確認作業をシステム化てきるからです。

 財務情報の作成・開示から利用まで,財務情報の一連の流れを財務情報サプライチェーンと呼びます。財務情報サプライチェーンにXBRLを導入することで,関与するすべてのメンバーがメリットを享受できます。

IFRS適用でメリットの範囲が拡大

 このXBRLとIFRSを組み合わせると,いま説明したメリットを享受できる範囲が一層広がると想定されます。

 XBRLはグローバル・レベルで標準化と普及が進みつつあります。現在,米国証券取引所(SEC),イギリス内国税歳入庁,ドイツ国税庁,オーストラリア金融監督局など,様々な国が採用しています。

 IFRSに基づくXBRLデータ定義も既にリリースされています。今後,米国や日本でもIFRSが適用されるとみられることから,XBRLとIFRSの組み合わせにより,財務情報サプライチェーンのメリットを享受できる範囲が拡大していくと予想されます。。

 IFRSに基づくXBRLは,アラビア語・フランス語・スペイン語・イタリア語など多言語に対応しており,財務諸表を他言語に変換・表示できます。各国の会計基準がIFRSに統一されるにつれて,国をまたいで同業種企業間のIRデータを容易に比較できるようになります。

 財務諸表は今後,「見る」ものから「使う」ものへとますます変化するでしょう。その際に,XBRLは不可欠な情報基盤となるに違いありません。 

■変更履歴
元の記事で執筆者名が誤っていたので修正しました。本文は修正済みです。 [2009/10/8 16:50]