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 キャッチコピーは「もう一つの『人月の神話』」。ソフトウエア開発プロジェクトの真理を記したバイブルとして今なお名高い書籍になぞらえた。本書もまた、ソフト開発の困難さにまつわる普遍的な問題に切り込むノンフィクションだ。舞台は実在のオープンソースソフト「チャンドラー」開発プロジェクト、主役はロータス1-2-3の開発者で、チャンドラー開発を率いるミッチ・ケイパー。大手Webマガジンの共同創設者でジャーナリストの著者を狂言回しに、物語は進む。

 登場人物たちはソフトに関するジレンマやパラドックスに何度となく悩まされる。その一つが「プログラムの部品化と再利用」に関する夢だ。

 Webとオープンソースの現代、自分のニーズを満たす既製品は必ずどこかにある。しかし既製品を見たプログラマは「この使い方を調べるくらいなら自分で作ったほうが早い」という誘惑に駆られる。本書によれば、プログラマがソフト部品を探すのに費やす時間はわずか2分27秒。こうした人間のさがが、レゴブロックのようにソフトを組み合わせるという理想の前に立ちはだかる。

 ソフト開発はなぜ遅れるのか。本書を通して、半世紀にわたる謎に挑んでみてはいかがだろうか。

プログラマーのジレンマ

プログラマーのジレンマ
スコット・ローゼンバーグ著
伊豆原 弓訳
日経BP社発行
2310円(税込)