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 マイクオールドフィールド(Mike Oldfield)というアーティストがいる。ロックに詳しい人でも名前を告げただけでは誰だかわかってもらえないことも多く,ファンとしては悲しい限りだが,映画エクソシストのテーマ曲になったことでも知られるチューブラーベルズ(Tubular Bells)の作者であり演奏者だ。

 「どんなアーティスト?」と聞かれても,なかなか一言では答えづらい。なぜなら,プログレに分類されるような1曲が数10分以上あるような楽曲から,非常にポップな歌ものまで,とても幅広い楽曲をリリースしているアーティストだからだ。彼はイギリスのヴァージンレコードが最初に契約したアーティストとしても知られているのだが,彼がヴァージンレコードでの最後のリリースアルバムがヘブンズオープン(Heaven's Open)だ。

 この時,彼はマイクオールドフィールドではなく,本名のマイケルオールドフィールド(Michael Oldfield)としてアルバムを発表している。一説には,彼とヴァージンレコードとの間に仲たがいがあり,そのために最後のアルバムではわざと本名を用いたとも言われている。

 彼に限らず,アーティストには活動時期やアルバムによって名前を変えることがある。音楽ファンとしては,それぞれの名前に込められた意図に想いをはせることで,楽曲やアーティストへの興味が増す。これはこれで音楽の楽しみ方の1つではあるが,一方,同じアーティストの楽曲を追い続けているコアファンでもない限り,名前が変わってしまうと,同一アーティストかわからなくなってしまうこともある。

外来語カタカナ用語末尾の長音表記の変更

 しばらく前だが,マイクロソフトから「外来語カタカナ用語末尾の長音表記を変更する」という発表があった。詳しくは彼らのプレスリリースを読んで欲しいのだが,簡単に言うと,外来語をカタカナ表記にする際の長音の扱いを変更し,より一般の利用に近いものにするという発表だ。ブログなどでのコメントを見てみると,「へぇー」というだけのものから,「違和感を感じる」というものまで反響はさまざまだ。もろ手を挙げて歓迎という人は少ないように見える。どちらかというと,違和感を感じている人が多いようだが,ブログで自分の見解を明らかにする人を母集団としているので,多少バイアスがかかっているかもしれない。

 違和感を感じる人の多くは,この業界で使われている用語にすでに慣れ親しんでいるからだろう。気持ちはわからなくもないし,私自身も違和感を感じることが多いのだが,以前と違い,コンピューター機器やソフトウエアが専門家だけのものでは無くなっている事実も考えなければいけない。実は,この種の議論を以前した際に,小学校から高校までの情報教育で使われている教科書を見たことがあるのだが,そこではすべて基本的に長音記号をつける表記となっていた。コンピューターと家電の境がなくなる。新聞記事や一般小説にもIT用語が登場する。そのような中での正しい表記というものを考えた場合の1つの解が,マイクロソフトの今回のアプローチなのだろう。

 ただ,マイクオールドフィールドとマイケルオールドフィールドのような,わずかな違いであっても同一アーティストかわからなくなってしまうことがある。それと同じように,この長音の扱いの小さな違いが大きな違い-コンピューターやソフトウエアで言うと,動作に支障がでること-を生むこともある。

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