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 リレー連載は3巡目に入る。既に大澤幸生委員、矢田勝俊委員、原良憲委員の3氏も加わり、サービスの位置付けや、サービス・イノベーションに向けた論理的な取り組みの紹介も始まっている。これまでのリレー連載の中で、「サービスとは何か」、「サービス・イノベーションとは何を指すのか」について、各委員の考えを述べていただいたが、概ね、その方向性は共有できる範囲に収まっていると感じている。

もう一度、サービスとは何かを記述してみよう。

 「サービスとは、人・物・金・情報を対象として、これをサービス受給者の目的に応じて取り扱うに当たり、サービス提供者が行う支援とこれに伴う付加価値を提供する機能である。この機能の実現には、提供者と受給者の相互作用や共創、非営利活動も含まれる」

 「目的とは、消費や所有、専用や賃貸などを含む広い概念であり、付加価値とは、品質や機能、利便性、健康、効率性、効果性、コストベネフィット、安心、安全、好感度、満足度、信頼感、幸福感、美味しさ、楽しさ、節約、エコロジーなどといったものであり、サービスの範囲を非常に広くとらえている」

 しかし、これからの検討の中では、これをそのままサービスの定義として共有するのは、時期尚早であろう。それは、サービスの構造や領域の整理、サービス・イノベーションの概念や方法論を検討するなかで、サービス全体のフレームワークの整理を図りつつ、サービスの定義も固まっていくと考えているからである。

 上述したサービスの定義に下線部分を加えたのも、サービス研究における諸先輩からのアドバイスによる。主体者を明記することによって相互作用が明確になったと感謝している。また、上述の定義はサービスの範囲を極めて広くとらえているので、共有しやすいものとなっているともいえる。

 今後はサービスの範囲を整理するとともに、価値創出モデルを検討していく取り組みも重要である。内藤耕委員、持丸正明委員が指摘するように、製造業との対比も含めて、サービスの価値創出における提供者と受給者の相互作用を明らかにしていく試みは面白い。原委員のサービス提供者と受給者の相互作用プロセスの分析や、価値創出モデルの事例のデータベース化にも期待したい。

 さらに、これまでの連載で共有されたキーワードには、生活者起点と共感、共創が挙げられる。インターネットのサービスとは「おもてなしの心遣い」だとする生田昌弘委員の指摘には、意外性とともに可能性を感じる。同様に、木村達也委員のいう卓越したオペレーションによる共創と、インターナル・マーケティングをベースにした共創との組み合わせも興味深い。

 筆者の取材でも、レストランやホテルの経営者は「マニュアルで顧客満足は得られても、感動までは提供できない」と語っており、そこには、「人財」の育成や従業員満足度の向上が必須との見方は共通している。このことはまた、大澤委員のいう「チャンス発見プロセス」や矢田委員のいう「価値を生み出す多様な相互作用」をベースに、データ分析や科学的手法が活用されることで、サービス・イノベーションの新たな推進が図られていく流れとも通じる部分が感じられる。