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倉橋 理衣 氏
富士通 特定社会システム監視本部 グローバルSIアシュアランス統括部
倉橋 理衣 氏

 富士通のSE(システムエンジニア)として多忙な毎日を送る倉橋 理衣氏。所属は「グローバルSIアシュアランス統括部」。海外でのシステムインテグレーション・ビジネスの拡大を目的に富士通が発足させた組織である。その中で倉橋氏は,日本企業の東南アジア拠点における開発プロジェクトに直接かかわっている。

 富士通のSEは,アプリケーションソフトを主に担当するSEと,システム基盤(サーバーやOS,ミドルウエアなど,アプリケーションソフトを動かす土台になる部分)を主に担当するSEに分かれているが,倉橋氏は後者。アプリケーションが問題なく動くようにシステム基盤を設計・構築する役割である。

東南アジア各国の4プロジェクトを担当

 現在は東南アジア各国に4件の担当プロジェクトを持つ身。プロジェクトの内容や,現地のメンバーの習熟度によっては,日本から進捗を管理できる場合もあるが,現地に数カ月間常駐するケースも少なくない。

 だが「文化や言葉の壁という,困難な条件があっても,技術をベースとしてプロジェクトメンバーと分かり合い,尊重し合える関係になれます。ここにとてもやりがいを感じます」と倉橋氏は言う。

念願の海外案件で初めて身に染みた

 海外案件にかかわるようになったのは,入社4年目。それまでは国内の製造企業を担当していた。よく上司に「グローバルな仕事をしたい」と直訴しては「まだやることがいっぱいあるだろう,と一笑に付されていました」。

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 だが今の倉橋氏は,最初の3年余りを日本で製造企業の担当SEとして過ごせたことに感謝している。この時期に,SEの基礎体力といえるスキルをしっかり身に付けたことが役立っているからだ。

 顧客との定例会議や普段のコミュニケーションの中から,顧客企業が構築したいシステムの要件を定義し,システム基盤を設計し,構築したシステム基盤が問題なく動くかどうかを確認して稼働させる,さらに問題があれば顧客と調整しながら対応策を練る。SEの主業務は要件定義とシステム設計と言われるが,「顧客担当SE」は富士通では“システムの主治医”とも言われる立場であり,稼働後の運用にも間違いがないように目を配る。

 「駆け出しの時期に,日本の製造業ユーザーを担当できたことはとてもラッキーでした。日本の製造業のレベルは世界的に見ても極めて高い。特に品質ですね。設計ドキュメントの量やレビューの量は品質に比例するのですが,ここの部分の厳しさは,他の業界と格段に違います」。これは後に海外案件を経験して,初めて身に染みたことである。

 海外案件に携わるようになって,もう一つ気付いたことがある。プロジェクトチーム全体が統一された開発方法論(開発手順を規定したもの)で仕事を進めると,いかに大きなメリットが得られるかということだ。富士通のSEは,同社の開発方法論SDEM(エスデム)を駆け出しの時期にたたき込まれる。システム基盤SEである倉橋氏は,2007年に新たに導入されたSDEM準拠のシステム基盤向け開発方法論「ITIMAP」(IT Infrastructure architectural Method And Process)を作業のベースとして使っている。

 「システム開発は,人に強く依存します。標準化された方法論に従って進めるかどうかで,後工程が大きく変わってきます。ITIMAPの英語版を用意して,海外のメンバーにも学んでもらうようにしました」。

 倉橋氏はプロジェクトの初期の段階で,現地のプロジェクトマネジャー(PM)と一緒に,ITIMAPに沿ったWBS(Work Breakdown Structure:プロジェクトで実施する作業を階層的に細分化したもの)を作る。「この共同作業の段階で,そのPMにプロジェクトをどの程度任せられるか見定める」という。