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木達 一仁 氏
ミツエーリンクス R&D本部 取締役本部長
木達 一仁 氏

 Webデザイナは,「Webサイトをデザインする仕事」である。こう書くと簡単だが,その仕事範囲は広い。

 狭義には,Webサイトの制作において,ページの見た目(ビジュアル)をデザインする人を指してWebデザイナと呼ぶ。とはいえ,Webページは紙と同じ2次元の表現ながら,ユーザーと対話するユーザーインタフェースでもある。「見やすいWebサイト」と感じてもらうには,リンクの見た目,ページとページの関係などの使い勝手も重要になる。つまり,Webの進化に合わせて,Web制作に求められる知識やスキルは拡大してきている。このため,「Webデザイナ」と呼ばれる人が担当する範囲も徐々に拡大している。

広い範囲で問題を発見して解決

 もう少し具体的に,現在のWebデザイナの仕事を見てみよう。

 「デザインという英語の言葉を,強いて日本語に置き換えるとしたら『問題解決』だと思っています」と語るのは,ミツエーリンクスR&D本部 取締役本部長の木達 一仁氏。様々なWebサイトの制作や開発を引き受けるミツエーリンクスで,研究開発部門のトップを務める。

 木達氏は「弊社にもWebデザイナを名乗る人はいます。ですが,将来的には複数の肩書きに分かれていくでしょう」と予測する。実際,Web制作の世界では,すでにたくさんの肩書きが生まれている。

 現在のWeb制作業界で利用されている主な肩書きを列挙すると,以下のように多岐に渡る。(1)Webプロデューサ,(2)Webディレクタ,(3)Webデザイナ,(4)コーダー,(5)マークアップエンジニア,(6)フロントエンドエンジニア,(7)情報アーキテクト,(8)Webプログラマ――といったところだ。これら8つの肩書きの仕事内容をざっと紹介しよう。そうすることで,広義のWebデザイナという役職が,どのような領域をカバーして仕事しているのかが分かる。

 (1)のWebプロデューサは,Webサイトの目的や狙いを明確にし,プロジェクト全体を運営する仕事である。

 (2)のWebディレクタは,プロジェクトにおいて,様々な意志や仕事をまとめあげるプロジェクトマネジャーや現場責任者に近い存在である。

 (3)は,最初に説明した狭義のWebデザイナである。Webプロデューサや,Webディレクタが作ったWebサイトの企画に合わせて,画像編集ソフトのPhotoshopやドローツールIllustratorを使いながら美しく見やすいページのデザインとレイアウトを作る。

 (4)のコーダーは,(3)のWebデザイナが作ったページのデザインを,Webブラウザ上に表示できるように組み立てる仕事である。HTMLとCSS(Cascading Style Sheets)といったWebページの記述方法や,Webブラウザの挙動などの知識が要求される。

 (5)のマークアップエンジニアは,コーダーの仕事をより拡張した技術者職である。ページやサイト全体の情報,あるいはシステムの要求から,HTMLによる適切なページ記述を施していくのが主な仕事である。

 (6)のフロントエンドエンジニアは,(4)コーダーと(5)マークアップエンジニアの上位職。コンテンツを実現するための仕様を策定したり,設計したりする技術者である。

 (7)の情報アーキテクトは,Webサイト上にある情報を整理し,ページやページ内にある情報の構造を作る仕事である。

 最後の(8)Webプログラマは,Webシステムを設計し,JavaやPerl,PHPなどのプログラミング言語を使って,設計通りに動作するプログラムを開発する仕事である。

 このうち,(4)から(7)までの仕事の内容は,相互に重なる部分がある。このため,厳密に区別するのが難しい。また,(2)のWebディレクタと,(8)のWebプログラマは本特集内で紹介しているので,そちらも合わせて参照していただきたい。

周辺の仕事と合わせて理解する

 こうした多くの肩書きを聞くと混乱しそうだが,これらすべてを一人でこなす“Webデザイナ”も,実際にいる。

 Webデザイナの仕事の範囲が広い理由はWeb業界の歴史の浅さにあると木達氏は指摘する。「Webは生まれてから20年そこそこで,技術のトレンドはまだ流動的なところもある」。このため,職種が分化して肩書きが固まっていくのに,まだ時間が必要と予測している。

 これを踏まえ木達氏は「Webデザイナという肩書きになるんじゃなくて,武器として何を得ていきますか? という発想をしていってほしいです。そうでないと,Web業界のどっちに進んでいけばいいのか,分からなくなるでしょう」と述べた。

 注意したいのは,Web制作において何か一つだけカバーすれば仕事ができるわけではないこと。例えばビジュアルデザインを自身の仕事の中心においたとしても,その仕事内容は,情報アーキテクトの判断や,HTMLを実装する人の都合に関係する。