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宇宙と地上の間の通信には特別なプロトコルを使うの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
原田 力
宇宙航空研究開発機構
有人宇宙環境利用ミッション本部
宇宙環境利用センター 技術領域リーダ

 現在,宇宙空間でさまざまな実験を行う日本の実験棟「きぼう」を,国際宇宙ステーション(ISS)に設置するプロジェクトが進んでいます。このきぼうと地上の間での通信には,何か特別なプロトコルが使われているのでしょうか?

 実は,「CCSDS」(consultative committee for space data systems)という特別なプロトコルがあるのです。このプロトコルは宇宙開発を進める各国が合意し,宇宙データシステム諮問委員会が仕様をまとめたものです。

 宇宙ステーションから地上の基地局に向けた通信を例に,CCSDSを説明しましょう。まず,宇宙ステーションから地上に送るデータを宇宙ステーション内のサーバーで集約し,CCSDSパケットとしてカプセル化します。次にCCSDSパケットは電波に乗って宇宙空間を運ばれ,米国にある基地局に届きます。CCSDSパケットにはあて先の国を示すヘッダーが付いているので,その基地局から自動的に各国の宇宙開発機関へと運ばれるのです。

 CCSDSには,データのエラーを検知するしくみもあります。地上で受信してエラーを検知すると,そのパケットを自動的に廃棄します。

 また,データを運ぶ電波にも工夫があります。地上へ送るデータは,乗組員の生命維持やきぼうの制御についてのデータと,実験棟で得た実験データなどに大別できます。この中で特に重要なのは乗組員の生命に関わる前者のデータで,このデータの搬送にはSバンドという周波数帯を使います。Sバンドは宇宙ステーションのように高速移動している移動局でも安定した通信ができ,信頼性が高いのです。乗組員からの音声もSバンドで搬送します。

 それ以外のデータでは,Kuバンドを使います。Sバンドよりも大容量のデータを送れるので,実験結果や宇宙空間の映像などのデータの伝送に使われるのです。