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 当研究所では、グローバリゼーションをキーワードに、これからの企業基盤を考えています。第6回からは、喫緊の課題である「経費の節減、固定費の見直し」をテーマに、その対処法として、IT部門の“見える化”指標を紹介してきました。第7回は、サービスカタログの作り方を、第8回は、サービスカタログに付随する「Value Point(VAP)」の定義方法を説明しました。今回は、サービスの品質について説明します。

 前回は、サービスカタログとそれに付随するValue Pointの定義を、より具体的な形で説明するとともに、サービス品質に関わる「手戻り」について少し触れました。

 まず、復習をかねて、「手戻り」について簡単におさらいしておきましょう。みなさんの多くが所属されているであろうIT部門は、すでに色々な局面でアウトソーシングを利用していると思います。例えば、開発、運用管理、サポートデスクなどです。

「手戻り」を感知するチェックポイントが明確か

 開発を例にとると、社内顧客のニーズを反映した要件定義はIT部門のスタッフが実施し、次の段階の上流設計から詳細設計、開発、テストまではアウトソーシングパートナーに委託。そして検収・連結テストはIT部門スタッフとアウトソーシングパートナーが協業で実施する、といった具合でしょうか。この開発プロセスをみても分かりますが、IT部門スタッフとパートナー企業の社員は常に、複雑に絡み合いながら連携しています。

 ここでキーポイントになるのが、どのようにして「手戻り」を把握するかです。

 社内顧客にデリバリーするプログラムを考えてみましょう。単体・連結テスト時にバグを確認できれば、それらのバグを内在したプログラムは「手戻り」としてパートナーに戻されます。もし開発担当者がテストも実施していれば、バクの発見と同時に修正し、再度テストに持ち込むケースがほとんどでしょう。

 こうしたケースは、プロセス全体では「手戻り」ですが、テスト担当者が介在するか、「手戻り」を把握できるテストプロセスが確立されていない限り、「手戻り」としては認識されません。

 「バグの検出には手抜きはない」といった声も聞こえそうですが、現在ほとんどの現場では、こうした「チェックポイント」のプロセスが明確に定義されてはいないのではありませんか?「手戻り」といった課題を解決するためには、サービスカタログで定義したサービスに呼応する形で、プロセスと行程を追っていく必要があります。

製造業では、不良品を元の工程に戻さない

 つまり、サービスカタログに定義したプロセスを確認し、手戻りの基準、チェックポイントを決定していきます。これにより、サービスカタログ上の個別サービスは、そのサービス創生プロセスと共に、「手戻り」のチェックプロセス、基準などが作成できるはずです。

 製造業においては、製造の前工程と後工程の要所に「QA(Quality Assurance )」が介在し、仕掛品(半完成品)や製品に潜む不良品を見極めようとしています。しかし、ある規準をもって不良品と判定されたものを工程にもう一度戻し、修正するようなことはありません。なぜなら、そうしたプロセスを取ると、工程管理に障害を与えるだけではなく、著しく生産性を下げるからです。

 ソフトウエア開発やITインフラサポートも、そのサービスを「製品」だと考えれば、製造業と同じように「最終製品」のQAチェックポイントが必要なはずです。

 当研究所の連載を読んで、自部門のサービスカタログを作成されているみなさんは、是非各サービス生成プロセスに関して、この「QAポイント(チェックポイント)」をプロセス内で定義し、チェック基準を設定してください。ソフトウエアやインフラサービスの不良を検知できることで、手戻りを的確に定義・記録できることでしょう。