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Forrester Research, Inc.
テッド・シャドラー VP兼プリンシパルアナリスト

 米グーグルが「Google Apps Premier Edition」を1ユーザー当たり年額50ドル(日本では6000円)で提供開始したとき、「メールにいくら払うべきか」という疑問が利用企業にわき起こった。単なる料金の問題ではない。メールシステムのアップグレードや保守のために実際にかかるすべてのコストを、利用企業が意識し始めたのだ。

 こうした疑問に答えるために、フォレスターは北米と欧州の企業に勤務する53人のITプロフェッショナルにインタビューした。その結果わかったのは、多くの企業でメールシステムを社外で運用する「クラウドメール」の検討が進んでいることだ。主な理由はコスト削減だ。また彼らの多くが、メールにかけられるコスト総額は1ユーザ ー当たり「月額2~11ドル」と想定するが、実際にかかっているコストははるかに高かった。

 クラウドメールの利点は複数ある。(1)利用するユーザーの新規登録が容易、(2)システム部員をより有益な業務に再配置できる、(3)常に最新のソフトウエアが利用可能でアップグレード作業が不要、(4)設備投資が不要─―などだ。グーグルの「Gmail」は毎週10万人以上のペースで新規ユーザーを増やしていると推定されている。企業買収などがあって突然ユーザー数が増えたとしても、確実に対応できる。

 フォレスターでは、従業員数が1万5000人の利用企業を想定して、自社で運用する(オンプレミスの)メールシステムと、マイクロソフトの「Exchange Online」、グーグルの「Google Apps」、その他クラウドメールにかかる月額コストを比較した()。ここでは、従業員の10%を普段から「BlackBerry」などで社外からメールを使用する「モバイルエグゼクティブ」、70%を大容量のファイルをメールに添付することの多い「インフォメーションワーカー」、20%を会社のメールを常時使うわけではないユーザーと想定している。

図●従業員数1万5000人の企業を想定してメールにかかるユーザー1人当たりの月額コストを比較した
図●従業員数1万5000人の企業を想定してメールにかかるユーザー1人当たりの月額コストを比較した

 ユーザー数が1万5000人を下回る場合、自前運用よりもクラウドメールの方がコストを抑えられることがわかった。マイクロソフトのExchange Onlineの場合、一般のクラウドメールと比べても料金は10%安く、米コカ・コーラ・ボトリングや米エディー・バウアーなどが使用を開始した。

 グーグルはメールとメールアーカイビングに関する、新しい「最低水準価格」を生み出した。ユーザー1人当たりの月額料金は4.17ドルであり、年間わずか45ドルの追加料金で10年分のメールを無制限で保存できる。セキュリティに関しては、米国公認会計士協会の「監査基準書第70号(SAS70) Type II」の監査を受けている。しかもグーグルは、これらのサービスを黒字で運用している。今後Gmailに求められるものとしては、携帯情報端末への対応の強化や、オフライン時に利用できるメール/カレンダークライアントの充実、製品ロードマップの開示などが挙げられる。

◆本記事は,“Should Your Email Live In The Cloud? A Comparative Cost Analysis”を日経コンピュータ編集部で翻訳・構成したものです。