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高部 文宏/NTTコミュニケーションズ ビジネスネットワークサービス事業部

 NTTコミュニケーションズの戦略は,一言で表すと「トータル・ネットワーク・ソリューション」である。企業のニーズに応えられる各種のWANサービスや機能をそろえ,それらを組み合わせてソリューションとして提供する。そこにはサーバー・ホスティングやSaaSアプリケーションなども含まれる。そして,その中核の一つになっているのが「バーストイーサアクセス」という,各種WANサービスの新しいアクセス・メニューだ。

 バーストイーサアクセスの最大の特徴は,IP電話や受発注業務をはじめとする基幹システムを安心して利用できるよう帯域(インタフェース速度の10%分)を確保しつつ,最大で回線の物理インタフェース速度まで利用できる点である。この確保した帯域を超える領域を「バースト部分」と呼ぶ。

 ポイントは,従来の帯域確保型の回線(ギャランティ回線)よりも料金が割安に設定されていることである。例えば1M ビット/秒のギャランティ回線を2M ビット/秒に増速するより,バーストイーサアクセスのバースト10(1M ビット/秒の帯域確保,最大10M ビット/秒のバースト利用)を使う方が安価になる。

 加えて,Arcstar IP-VPN,e-VLAN,ビジネスOCNのユーザーなら,ネットワーク全体をリプレースする必要がないことも特徴の一つである。現在のネットワークのアクセス回線を変更もしくは追加するだけで,バーストイーサアクセスに移行できる。国際回線との接続やSaaSなどのアプリケーション・サービスを利用している場合も,そのまま使い続けられる。

優先制御ビットを識別して制御

 バーストイーサアクセスの“肝”は,Arcstar IP-VPNやe-VLANのエッジ・ルーター/スイッチで,一定帯域を確保するトラフィックと,バースト通信を可能にするトラフィックを区別する点にある。ユーザー側で帯域を確保したいトラフィックに“色付け”すると,NTTコミュニケーションズの網内では,この色付けに基づいて帯域制御される(図1)。

図1●バーストイーサアクセスの機能動作<br>ユーザー拠点のルーターやスイッチで優先制御ビットを設定する。
図1●バーストイーサアクセスの機能動作
ユーザー拠点のルーターやスイッチで優先制御ビットを設定する。
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 トラフィックを区別するための特別な申し込みは必要ない。送信側ユーザーのルーターやスイッチで,特定アプリケーションのパケットに,ToSやCoSといった優先制御ビットをセットするだけである。

 帯域を確保すべきトラフィックには,ルーターやスイッチが「1~7」の値の優先制御ビットを設定する。図1の例では基幹システム利用のトラフィックに「6」,IP電話のトラフィックに「7」を割り当てている。優先度が7段階あるのは既存のArcstar IP-VPN,e-VLANで使われている優先制御ビットと整合性を持たせているためで,この優先度の違いによる制御は行わない。

 一方,優先度が「0」もしくは図1の情報系システムへのアクセス・トラフィックのように優先度の値がないパケットは,自動的にバースト通信用の帯域を活用するトラフィックに分類される。優先制御ビットの付与機能は多くの市販ルーターに搭載されており,例えばArcstar IP-VPNサービスでも半数近くの回線で利用されている。

 実際のところ,Arcstar IP-VPNやe-VLANの網内では,どのパケットも上記の優先度設定による制約は何も受けずに,受信ユーザー側のアクセス網(バーストイーサアクセス)への出口となるエッジ装置までたどり着く。受信ユーザー側のエッジ装置が優先度を識別し,制御ビットが付けられたトラフィックから先にアクセス網に送り出すようになっている。

 バースト通信に分類されたトラフィックは,エッジ装置のバッファ・メモリーに優先度が設定されたパケットが残っていない状態になって初めて送り出される。このため,バースト通信用に割り当てられる帯域は,アクセス網の帯域の空き状況に応じて変わる。

 なお,バースト通信のトラフィックが少なく,帯域に余裕がある場合には,優先設定されたトラフィックにバースト用の帯域まで割り当てられるようになっている。

帯域確保はネットワーク混雑時に発動

 図2はバーストイーサアクセスのネットワーク・イメージである。ユーザーの回線は一定エリアごとに集約され,中継回線を通じてArcstar IP-VPNやe-VLANのバックボーン・ネットワークに接続される。

図2●バーストイーサアクセスの動作イメージ<br>ダウンロード方向のトラフィックに対し,IP-VPNや広域イーサネットのエッジ装置が優先度を判別。中継回線の帯域をフルに使い切るケースで一部帯域確保の効果が得られる。
図2●バーストイーサアクセスの動作イメージ
ダウンロード方向のトラフィックに対し,IP-VPNや広域イーサネットのエッジ装置が優先度を判別。中継回線の帯域をフルに使い切るケースで一部帯域確保の効果が得られる。
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 バーストイーサアクセスでは,この中継回線の運用方法とエッジ装置の動作が,従来のギャランティ型アクセス網と異なっている。ギャランティ型アクセスの中継回線は,複数のユーザーのトラフィックが重なったとしても,すべての契約帯域分のトラフィックを伝送できるよう余裕を持って設計・運用されている。

 これに対してバーストイーサアクセスでは,エッジ装置の機能で各ユーザーの契約帯域(物理インタフェースの10%)を確保する。この10%の帯域については,異なるユーザーから同じ優先度のパケットが送信されても,エッジ装置内では送信元拠点ごとに帯域を確保するため,それぞれに影響は及ばない。

 ただ,バースト通信に割り当てる帯域は,他ユーザーと共同利用する仕組みになっている。多くのユーザーのバースト・トラフィックが重なり,割り当てた帯域内で混雑が発生すると,それぞれの拠点用に10%分ずつ帯域を確保し,残りの帯域を各ユーザーのバースト通信に使う。

 こう説明すると,ユーザー回線でパケット損失がどの程度出るのか心配になるだろうが,中継回線では多数のユーザーによる統計多重効果を見込めるため,高いバースト性を提供できると考えている。WebアプリケーションなどTCP上のアプリケーションなら,フロー制御が動作する。多少のパケット・ロスが発生しても,再送制御で救済されるため,支障は生じない。

高部 文宏(たかべ・ふみひろ)
NTTコミュニケーションズ
ビジネスネットワークサービス事業部
サービス開発部 担当部長
NTTに入社後,インターネット接続サービスのOCN立ち上げに携わる。NTTコミュニケーションズに移行後,OCNバックボーンの開発/設計に従事。現在は,ビジネスネットワークサービス事業部でIP-VPN/e-VLANのサービス開発に従事。