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 ファシリテーション・テクニックを極める当研究所。現場で培ってきた数々のテクニックやノウハウの中から、即効性があるツールを紹介しています。第9回と第10回は、「80・20(エイティ・トゥエンティ)」を紹介します。今回は概要編として、80・20の考え方と、その意味について説明します。

一生懸命にタスクをこなしはしたけれど

 こんな経験はありませんか?

 上司から新規顧客開拓のための提案書の作成を頼まれ、毎日遅くまで残業して対応しました。上司からのたっての依頼。その期待に応えようと意気込んだものの、その意気込みが強すぎて、少しばかり納期を超えてしまう。「納期は少しオーバーしてしまったが、完成度の高い提案書に仕上げたつもりだ。自分自身でやれることはやり切った!」と意気揚々と提案書を上司に渡しました。

 しかし、ねぎらいと賞賛を期待していた矢先、思わぬ言葉を耳にします。

「ここまで作り上げてもらったけれど、この部分は今すぐには使わないなぁ」
「そこまで時間がかかるとは思っていなかった」
「そんな細かい仕上げはいいから、この部分はもっと早く使いたかった」
「ここまで仕上げるくらいなら、他にやるべきタスクがあるだろう」

 やっとの思いでやり遂げ、ホッとしたのも束の間、ハンマーで殴られたような衝撃ですね。一生懸命に対応したつもりなのに、何とも厳しい言われようでは、なすすべもありません。

 この例のように、みなさんも自分自身が思い描いたものとは全く異なる意見や評価をもらったことがあるはずです。当研究所でも入所直後の新人などが、同じようなコメントに出くわすことは少なくありません。そのとき、当研究所の上司は、決まって次の言葉を発しています。

 「それって80・20(エイティ・トゥエンティ」じゃないよね」

パレートの法則に基づく「80・20」

 「80・20(エイティ・トゥエンティ)」と言われても、ピンと来ないかもしれません。同じ意味をもつ言葉に、「2・8(にっぱち)の法則」や「80対20の法則」があります。以下では、当研究所が使用している「80・20」と表記することにします。

 この80・20という言葉、そもそもは経済学者であるヴィルフレド・パレートが提唱した「パレートの法則」に基づいています。パレートの法則では、「所得の上位20%の人が所得全体の80%を占める」としたうえで、「経済活動のほとんどの結果は少ない要因から成り立っている」と解釈しています(図1)。

図1●「80・20(エイティ・トゥエンティ)」はパレートの法則に基づいている
図1●「80・20(エイティ・トゥエンティ)」はパレートの法則に基づいている